まだまだ尽きない情熱― 退団のロッテ池田寮長、あっという間の49年

「勝負の世界は厳しいヨ」―、寮長が残した言葉

 息子、いや孫のように愛情を持って接した寮生一人一人の目を見ながら、最後にもう一度、人としてのあるべき生き方を伝えた。

 情の人だった。生活態度が乱れがちな選手を見ると、あえて大声を出して怒ることはしなかった。自分たちで気が付いてほしかった。だから、その選手の部屋に直筆のメッセージを添えた紙を貼った。

「勝負の世界は厳しいヨ。寮長」

 達筆な字で書かれた短い言葉に部屋に戻ってきた選手は何度となくハッとさせられ、自分の行動を思い直した。それは40年以上もプロ野球界で生きてきた人間だからこその含蓄溢れる言葉だった。

 最後もまた多くの人が集まった。12月6日、栃木のゴルフ場で送別会を兼ねたゴルフコンペが催された。台湾ウィンターリーグに参加しているメンバーなどを除く12人の寮生が参加。70歳に達するまでの長きにわたってプロ野球の仕事に携わり、自分たちにとって父親のような存在だった寮長をみんなで慰労した。晴れ渡る空の下、前半に2つのバーディーをとるなど92のスコアでまわった。プレーをしながら、ずっと寮生たちと思い出話をしては盛り上がった。

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