選抜出場有力の仙台育英、佐々木監督が掲げた今年のテーマとその意図は
「気合いが入っている時に書く文字にはエネルギーがある」
「機はチャンスです。人生には必ずチャンスが訪れる。チャンスはみんなに訪れているんだけど、チャンスが来ただけでは何も起きない。チャンスは来ているんだけど、何もしなかったということがないように。チャンスを何とかするためには用、活用すること。チャンスがあったら何とかする工夫がないと物事は大成しないという意味です」
高橋昌江●写真 photo by Masae Takahashi
大機大用はかつて勤めていたNTTの上司が、NTT東北硬式野球部がクラブチームになる際に用いた言葉だと伝え、「何か事を起こす時にはいいので選びました」と話した。
前述の通り、部員同様、佐々木監督も正月に筆を走らせる。筆にたっぷり墨を付け、いざ「大機大用」と書いたが、「一発目がやばいなと思って、“十発”くらい書きました」と部員を笑わせた。そして、「“十発”くらい書いて、結局、何発目を持ってきたと思いますか」と質問すると、部員らは「一発目」と回答した。
「一発目です(笑)。これが面白いね。(貼ってある)これ、やばいと思ったやつです。でも、一番、気合が入っているんだね。どれも気合いは入っているんだよ。最初は機が嫌だった。次は機をちゃんと書くとバランスがおかしかった。その次は用がダメだった。何回やってもそう。結局、パッと見たらこれが一番、良かったんだね」
部員が声を上げて笑う中、佐々木監督が続ける。
「パッと見とか、インスピレーションとか、そういうのがとっても大事なんだなと教えられたね。やっぱり、一番、気合いが入っている時に書く文字にはエネルギーがある。そんな1年にしたいと思います。大きいことはいいことだということで、大きくみんなでチャンスをつかめるように心を1つにしてやっていきましょう」
この日は時間の都合上、2年生のみが目標の設定理由や意味を前に出て発表した。“トップバッター”は昨秋、途中出場ながら公式戦13試合で打率.563をマークした若山壮樹。「脱皮」を掲げ、「高校野球最後の年に大きく脱皮したい」と意気込んだ。昨年までプロ野球楽天の2軍投手コーチを務め、今季は台湾プロ野球チームのコーチをする杉山賢人氏の長男で、明治神宮大会でも安打を放った杉山拓海は「強い心、諦めない心が大事」と「心」を選んだ。