一度つまずいた才能を花開かせる―四国IL最多NPB輩出チームの指導法とは

一度つまずいた才能を使いながら育てる…「成功例」となった中日・又吉

「NPBならミスをすれば、すぐに下に落とされるでしょう。でも、ここは人数的にも制約されているので、とっかえひっかえもできないし、よほどのことがない限り、解雇もされない。ミスをしてももう一度、もう一度……とチャンスを与えて、試合の中でつかんでいくことが大事。投手なら数多く先発させて、試合勘や配球を磨き、何よりも自分の投球に自信が持てる。そういう場所が、彼らにとっては必要なんです」

 一度はつまずいた才能を使いながら育てる。その指導において大事なのは「自分をコントロールする力をつけさせること」だ。

「技術的はバットや投球、メンタル面は心のコントロール。長く試合をすると良い時、悪い時がある。そこで打ち勝つためタフさを身につけるために私たちが経験上、アドバイスしていく」

 その「成功例」として名前に出したのが、又吉だ。環太平洋大から入団した12年オフ年のことを回想する。

「もともと野手上がりの選手。実戦で投げていたんだけど、変化球はまだまだ、荒い感じもあって大学ではチャンスが少なかった。物怖じはしないけど、神経質な部分もあった。そういう中で縁あってガイナーズに来てみたら、サイドハンドで投げる球のキレは抜群。これはNPBにいけるな、と」

 早速、チャンスを与えることに決めた。3月のオープン戦。広島2軍と対戦し、7回1失点の好投を演じたという。これが、本人にとって大きな自信になった。独立リーグでなければ、得られなかったプロとの直接対決。ここから大学時代とは見違えるような活躍で最多勝(13勝)を獲得し、わずか1年で史上最高のドラフト2位指名への階段を駆け上がっていった。

「人間というのは、いいものを引き出してあげて何か感覚をつかめば、そこに向かって努力しようとするから、伸びるのが早い。いつも失敗している選手はダメじゃないかとネガティブになる。私の現役時代も、いいホームランを打ったら、そこで感触を思い出して、また積み上げて成績を残していた。そういう、きっかけ作りをしてあげることが大事だと思う」

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