「日本のレベルはそれだけ高い」とバース氏 侍J飛躍へ名手たちが秘める思い
中畑氏「『時の運』っていうのもある」
2004年のアテネ五輪では監督代行として指揮を執り、日の丸の重みを誰よりも知る元巨人・中畑清氏(※6)は選手、関係者の本音を代弁しているようだった。
「でも、世界で勝つのは『時の運』っていうのもあるしな……。『絶対に勝てる』というのがあれば、誰もがそれをやるわけだし……。だけどそれが結果に確実に結びつくかわからないというのがね……。今でも本当にいい試合をしていると思うから、このまま頑張って欲しいね」
「それに『メダルを獲ることがすべて』とも思わない。もちろん『勝つこと』は大事。でも結果までの過程において必死でやる姿勢を見せてくれればいいと思う。甘いかもしれないけど……。それだけの重圧の中で選手たちは懸命にやっている。周囲の我々もしっかりサポートしてあげたいよな」
侍ジャパンの動向には日本中が注目する。普段、野球にあまり関心がなくとも、オリンピックなどと同様、結果を求める。そんな中でプレーする選手たちには、とにかく故障なく、最高のパフォーマンスを発揮して欲しいものだ。
最後に、「浪速の春団治」川藤幸三氏(元阪神※7)が締めてくれた。
「もうね……、リタイアしてから30年以上経つのに、何が打ってみたいやねん(笑)。そんな大それた考えもっとらせん。だから今の連中がどんどん成長して高いレベルの野球をするのを見るのが、わいの夢みたいなもんや。その中で、たまに世界一になったりしてくれる。それで十分やで」
日本球界を見守る優しい好々爺の視線がそこにはあった。
※1:屋鋪要(元大洋、巨人)
右投両打。NPB通算1628試合出場、4263打数1146安打、58本塁打、375打点、327盗塁。
※2:西山秀二(元南海、広島、巨人)
右投右打。NPB捕手通算1145試合出場、守備率.995、盗塁阻止率.374。ベストナイン2回、ゴールデングラブ賞2回。
※3:水野雄仁(元巨人)
右投右打。NPB通算265試合出場、39勝29敗17セーブ、防御率3.10。
※4:元木大介(元巨人)
右投右打。NPB通算1205試合出場、3397打数891安打、66本塁打、378打点。
※5:ランディ・バース(元阪神)
右投左打。NPB通算614試合出場、2208打数743安打、202本塁打、486打点。三冠王2回(85、86)。
※6:中畑清(元巨人)
右投右打。NPB通算1248試合出場、4838打数1294安打、171本塁打、621打点。
※7:川藤幸三(元阪神)
右投右打。NPB通算771試合出場、895打数211安打、16本塁打、108打点。
(山岡則夫 / Norio Yamaoka)
山岡則夫 プロフィール
1972年島根県出身。千葉大学卒業後、アパレル会社勤務などを経て01年にInnings,Co.を設立、雑誌Ballpark Time!を発刊。現在はBallparkレーベルとして様々な書籍、雑誌を企画、製作するほか、多くの雑誌やホームページに寄稿している。最新刊は「岩隈久志のピッチングバイブル」、「躍進する広島カープを支える選手たち」(株式会社舵社)。Ballpark Time!オフィシャルページ(http://www.ballparktime.com)にて取材日記を定期的に更新中。