選抜決勝を戦った2人の主将のその後 交わる運命に抱く思い
主将としての“カラー”は対照的、選抜決勝で感じたこと
ライバルがいれば成長できる、とはよく言うが、大阪桐蔭と履正社は世間から見ても練習環境など、様々な角度から比較されることも多かった。福井は若林をどのような存在として見てきたのだろうか。
「(若林)将平は敵なんですけれど、お互い苦労とかチーム作りの中の考え方もあるので、どっちが良いとか悪いではなく、カラーが違う中でお互い頑張ってきた者同士。将平は履正社というチームの中でそのカラーを生かしたチーム作りに頑張ってきたんだと思います。将平は体が大きくて長打力があって、自分にはないものもあるので、そのあたりは尊敬の目で見ていました」
キャプテンとしてのカラーは対照的だった。細やかなアドバイスと共にハートで引っ張る福井に対して、若林は多くを語らず背中で引っ張るタイプ。若林は福井のキャプテンシーそのものを羨望のまなざしで見てきた。
「センバツの決勝でもベンチを必死に鼓舞しながら声を掛けている姿を見て、素直にすごいなと思って。中学の時から人間性の大きさは感じていましたけれど、実際に接しても人としてのすごさはあらためて感じます。夏に(府大会準決勝で)負けた時も、結局はそこの差だったのかなと今でも思ってしまいます」
若林も受験に集中していた頃は練習をセーブしていたが、徐々にグラウンドに出て体を動かし、年が明けても上京ギリギリまでグラウンドで練習してきた。今思うと、まさか常に対角線上にいた福井と同じ大学に進学することになるとは夢にも思わなかったと笑うが、新たな目標や楽しみもできた。