ホークス日本一連覇のカギを握る投打の若武者 背番号に込める思い

憧れを追いかけるだけにとどまらない、上林の進化を求める姿勢

「51」番に特別な意味を持たせたイチロー選手への憧れを、上林はプロ入りした当時から隠さない。

「プロの世界でも『51』番を着けられるとは思っていませんでした。変なプレッシャーはなかったですけど、背番号に恥じないように、背番号負けしないように活躍したいと思っています。イチロー選手は小さいときから目標にしましたし、本当にお手本にしなければなりません。けど、全てを真似するのではなくて、自分の色を出しながらやっていきたいと思っています」

 稀代のヒットメーカーはゴロを多めに打つタイプの打者だが、上林は現在、打球に角度を付けてのフライ増に取り組んでいる。

「ボールの下を捉えればフライになると思います。下に入りすぎると凡打のフライにもつながるので、そこは難しいところです。柳田(悠岐)さんは結構、フライを打つので、真似はできないですけど、参考になるというか。柳田さんはVスイングというのをやっているので、やるなら、そういうスイングかなと思いますね」

 スポーツ界に押し寄せるビッグデータの波。メジャーでは「フライボール革命」として定着しつつある。上林は長打を増やすためではなく、ヒットになる確率が上がる点に着眼している。

「フライを打った方がヒットになる確率が高いという結果が出ているみたいなので。だったら、フライの方がいいのかなと考えています。急に変えると打てなくなったりもすると思うので。自分に合っているか、合わないかをしっかり見極めてやっていきたいです」

 去年の春季キャンプでは打撃を一度、白紙に戻した。常に、チャレンジする姿勢を忘れない。

「怖さはなくはないですけど、どんどん新しいことを取り入れていかないと進歩がない。逆に、そのままだと不安になりますね。『去年より変わった』とか『去年から変えた』という方が、自分の中では不安がなくなるので。その意味でも、どんどん新しいものを取り入れてもいいと思っています」

 1軍定着2年目のシーズンへ向けて、バッティングのアプローチだけではなく、年間を通したパフォーマンスの維持も重要になる。昨季は後半戦に打率.219と成績が急降下した。もちろん、対策は練ってある。

「まずは気持ちの面。夏場は体力面でもそうですけど、技術的にも疲れがたまりやすい。夏場がくる前に、気持ちの面で準備しておくことが、まず大事かなと思います。毎年、夏場に体重が落ちたり、筋量が落ちてしまっているので。今年はそこを、特に意識してやらなければと思っています。どうしたら維持できるのか。セット数などを見極めて、疲れをためすぎないようにと思っているところですね」

 チームメートの内川聖一内野手らと励んだ自主トレでは、元陸上選手の秋本真吾氏に師事した。

「スピードうんぬんは別で、第一に怪我をしない走り方を教わりました。肉離れしないだとか、そういう走り方を教わったので、ケガのリスクが今までより少ないとは思います」

「去年は守備が想像以上にできた部分があったので、そこは自信にしていいと思います。ただ、守備率も10割ではありましたけど、見えないエラーもありました。今年はもっと突き止めたいと思いますね」

チームの強さの源泉である競争原理に打ち勝ち、高みを目指す

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