楽天則本&松井が語るお互いの凄さ 「伸びるボール」の秘密とは
目指すのは、昨季届かなかった頂、「優勝。それだけです。以上」
――昨季はキャリアベストの成績を残しながら、それでも満足のいかない時期があったと思います
則本「1年間を通して常にいい状態ではないので、そこで結果を残すことが大事だと思います。それこそ2013年の田中さんはいい時も悪い時も常に試合を作って、チームを優勝に導きました。去年、僕が後半戦に勝てなかったのはだめですし、まだまだ足りないところだと思います。パフォーマンスを保つ練習も大切だと思いますけど、練習以外のところにも何かヒントがあるかもしれません。そこを考えて、今シーズンはできたらいいなと思います」
松井「春季キャンプが好調ですね。例年に比べてボールも仕上がっていますし、いつになくいい感覚で投げられています。怪我さえなければ、今年は堂々とマウンドに立てると思っています」
2月中旬、場所は春の気配を漂わせ始めた沖縄県金武町ベースボールスタジアム。牛の鳴き声も聞こえる牧歌的な情景を背に、則本投手と松井投手は兄弟のような仲の良さを見せながらリラックスして取材の場に就いた。
しかし、投球哲学に触れるや一転、表情は急激に険しくなり、実戦さながらの緊張感を帯びた。プロ野球の長いシーズンは、気持ちを四六時中張り詰めるだけでは乗り越えられない。そのため、オンとオフの切り替えの速さが重要となる。先発ローテーションの頭とブルペンのしんがり。チームの行方を左右する者に課せられた責任の大きさが、垣間見られた。
また、トラックマンを用いたデータ活用の言及について、具体的な概念と数字がすらすらと挙がった。パワーピッチングで打者をねじ伏せる投手陣の大黒柱2人は、生粋の気骨精神だけでなく、野球脳を刺激させることでも自らを高めようとしている。とはいえ、最後に尋ねた今季の目標に対する返答は、いかにも本格派らしい、真っすぐなものだった。
則本「優勝。それだけです。以上」
松井「同じく。それ以外は考えていないです」
〇則本昂大(のりもと・たかひろ)/先発投手
1990年12月17日生まれ。27歳。滋賀県出身。178センチ82キロ。右投左打。
向こう気の強いピッチングスタイルは少年時代から。中学軟式を経て八幡商業高校に進むが、全国大会の舞台とは無縁だった。三重中京大学に入学し、2012年の大学野球選手権では大阪体育大学から大会記録(10回延長参考)となる20奪三振をマーク。試合には敗れたが、プロ注目左腕の松葉貴大投手(現オリックス)と投げ合い注目を集めた。同年のドラフト2位で楽天に入団するまで、三重学生野球リーグでの通算成績は33勝0敗、防御率0.56。プロ1年目から4年連続で開幕投手を務め、昨季は8試合連続2桁奪三振の日本記録を樹立。4年連続奪三振王を継続中。
【昨季成績】25試合 15勝7敗 185.2回 奪三振率10.76 与四球率2.33 防御率2.57
【通算成績】138試合 65勝47敗 1HP 948回 奪三振率9.41 与四球率2.24 防御率2.94
〇松井裕樹(まつい・ゆうき)/救援投手
1995年10月30日生まれ。22歳。神奈川県出身。174センチ74キロ。左投左打。
小学6年時に12球団ジュニアトーナメントに横浜ジュニアで出場し、中学シニアでは全国大会優勝を達成。桐光学園高校では、2年夏に神奈川大会決勝で桐蔭学園高校の齋藤大将(現埼玉西武)に投げ勝った。夏の甲子園では大会史上最多の10連続奪三振&22奪三振を記録した初戦の今治西高校戦を皮切りに、以降の試合でも19、12、15と驚異的なペースで三振を量産。2013年のドラフトで5球団から1位指名を受け、交渉権を得た楽天に入団した。空振りを奪う能力はプロの世界でも高く、2年目からはクローザーに定着。昨季まで3年連続で30セーブをクリアしている。
【昨季成績】52試合 3勝3敗 33セーブ 8HP 52.2回 奪三振率10.60 与四球率4.44 防御率1.20
【通算成績】200試合 11勝17敗 96セーブ 38HP 303.1回 奪三振率10.86 与四球率4.78 防御率2.55
(「パ・リーグ インサイト」藤原彬)
(記事提供:パ・リーグ インサイト)