子供たちにもっと野球を WBSCが「ミニ・ベースボール」普及プロジェクト
未来の子ども達のため、教える指導者にも学習の場を設置
2018年3月、台南にある高雄アリーナにて、ミニ・ベースボールに関するイベントを行った。そこでは、子どもたち用にデザインされたWBSCミニ競技用のインフレータブル(ふくらまし式)ミニ球場を作成し、過去、台湾五輪代表を銀メダルに導いたレジェンド黄忠義氏が先頭に立ち、紹介や自ら競技に参加するなど、イベントに参加した。施設内には、屋台もあり、ファンフェスタのようなイベントとなった。
PCGブロスのミニ・ベースボール担当者は「ミニ・ベースボールの普及や指導は、新たな職として確立する可能性もある。台湾プロ野球選手引退後のキャリアとして、野球に関する仕事、野球に携わり続けられる、といったシステムを確立できれば幸いだ」と今後のプランを語ってくれた。
台湾少年野球の指導者は、大会に参加する際、台湾野球協会が実施する講習の受講が推奨されている。また、2018年初旬、発明者のマントヴァーニ氏やWBSC関係者が中心となり、台湾の指導者や教員、記者を集結したミニ・ベースボールの指導講習が実施された。今後は、公認指導者の制定などを計画している。
最後に、ミニ・ベースボールのプロモーションをするPCGブロスの担当者へ、日本への進出計画を尋ねてみると、「日本はTeeボールが存在する。そこへ横に割って入りミニ・ベースボールを普及させるつもりは全くない。それよりも中国、香港、マカオやアフリカ圏など、支援が求められ、野球のさらなる普及を目指す地域を中心に、プロモーションしていきたい」との答え。ただ、共有できる部分は分かち合いたいという。
野球は、日本では、若年層の競技人口が減少しているといえども、まだまだ人気のスポーツだ。しかし、世界には、野球を知らない人々も存在する。「道具が多い」「ルールが難しい」といった課題に向き合い、誰もが楽しめるような野球を展開するミニ・ベースボールを今後も注目したい。
(大森雄貴 / Yuki Omori)