江夏豊、佐々木主浩、山田久志…名球会投手に聞く「打者・大谷どう攻める?」
「シンカーではなく浮き上がる真っ直ぐで空振りを取りたい」(山田久志氏)
「インコース高め、少しでも間違ったコースに行ったら長打を打たれてしまうところへ、全力の真っ直ぐを投げ込んでみたい」
あくまでストレート勝負にこだわりたいと語ってくれたのは、阪急一筋のサブマリン投手、山田久志氏。通算284勝、2058奪三振、MVP3回、最優秀防御率2回、最高勝率4回という、まさに大投手である。山田氏といえば、ストレートよりも切れ味鋭いシンカーのイメージが強い。
「シンカーはもちろん僕の武器。でも一番、自信を持っていたのは下手から投げて、浮き上がる軌道で空振りを取る真っ直ぐ。シンカーが活きたのも真っ直ぐがあったから。現役時代も良い打者になればなるほど、真っ直ぐでの勝負が好きだった。だから大谷君には真っ直ぐで勝負してみたい」
「全盛期の一番力がある時の真っ直ぐを投げてみたかった。それにアメリカでは下手投げはあまりいないから、普段から練習していないはず。それならば空振りが取れたんじゃないかな……。やっぱり打たれたのかな……」
かつて並み居るパ・リーグの強打者たちを打ち取ってきた渾身の真っ直ぐ。大谷にも投げ込んでみたい、という純粋な思いを語ってくれた。
各球団に若手の強力なスラッガーがどんどん現れている。先の日米野球でもそれらを証明するかのような、規格外れの天井直撃弾も見られた。そんなMLBの中でも決して引けを取らない強打者、大谷翔平。この男との対戦については、日本を代表する投手たちも、真剣に考えてしまうものなのだ。
(山岡則夫 / Norio Yamaoka)
山岡則夫 プロフィール
1972年島根県出身。千葉大学卒業後、アパレル会社勤務などを経て01年にInnings,Co.を設立、雑誌Ballpark Time!を発刊。現在はBallparkレーベルとして様々な書籍、雑誌を企画、製作するほか、多くの雑誌やホームページに寄稿している。最新刊は「岩隈久志のピッチングバイブル」、「躍進する広島カープを支える選手たち」(株式会社舵社)。Ballpark Time!オフィシャルページ(http://www.ballparktime.com)にて取材日記を定期的に更新中。