3連覇も丸移籍で変革期迎える広島 日本一への鍵を握る2人の「ハズレ1位」
遅咲きながらチーム内屈指の実力者・安部
安部は07年高校生ドラフト1位指名、ロッテ唐川侑己の抽選を外した広島から指名を受けた。プロ3年目までは2軍で実力を磨き、4年目となる11年から少しずつであるが1軍の試合にも出場できるようになる。
飛躍となったのは17年、123試合に出場、規定打席に到達し打率.310、4本塁打、17盗塁。とくに優勝を争う阪神との対戦となった9月5日には逆転サヨナラ本塁打。翌6日には試合終盤8回に勝利へつながる価値ある同点打、と抜群の勝負強さをみせた。
「安部は2軍にいる時からしっかりとした実力があった。タイミングというか、1軍での出場機会に恵まれなかったので、どちらかといえば遅咲きで、いきなり打ち始めたように見えた。もちろん守備が安定してきたのも試合に出れる要因の1つですけどね」
2軍野手コーチ補佐を兼任した時代から見続けてきた安部の実力に関して、東出コーチは太鼓判を押してくれた。
しかし、レギュラー奪取と思われた18年は開幕から調子があがらず6月に2軍降格。1軍再昇格した8月5日のDeNA戦では、右手中指骨折。シーズン終盤に復帰し、CSでも2本塁打を放つなどしたが、本人は不甲斐ない思いをしている。
「故障したのは本当に残念だった。実際、今でも指の形が変形しているほど、けっこうな重症だったとも思う。休む期間も長かったですが、1軍には戻れた。でも完全ではなかったし、18年は最後まで納得できることはなかった。でもそれを悔やんでもしょうがない。この故障でさらに違った面というか、新しいスタイルも構築できると思う」
「故障して2軍にいる間に5キロくらいウエイトが増えた。トレーニング食事で身体が大きくなった。最初はやはり少し重くなった、という感覚はあったのですが、それに適応してきた。だから故障前とは少し異なったプレースタイルになりつつあると思いますね。以前に比べて力強さが増したような気もする」