打ちまくった西武森、孤軍奮闘のハム有原 セイバー目線で選出、8月の月間MVP【パ編】

ロッテ種市が健闘も、低迷するチームで気を吐く有原に軍配

○8月月間MVP パ・リーグ投手部門
 
○有原航平(日本ハム)5試合 2勝3敗 FIP2.42 WHIP0.90 RSAA6.79 防御率2.36 QS率80% 奪三振32 奪三振率8.39

 8月のパ・リーグで月間規定投球回をクリアしたのはわずか4人。なお、8月に完投したのはロッテ二木康太(2日、対楽天=114球5失点)、ソフトバンク千賀滉大(2日、対日本ハム戦=135球完封)、オリックス竹安大知(17日、対ロッテ=115球完封)の3人のみでうち2人は完封でした。先発の平均投球回数が6回を下回っている状況では規定投球回数を超えるのはなかなか困難とみられます。

 月間最多勝が2勝のため、公式の月間MVPの選考は難航しそうですが、有力候補は以下の3人と考えられます。

種市篤暉(ロッテ)4試合 2勝1敗 防御率1.61 奪三振35 奪三振率11.25 被打率.186

有原航平(日本ハム)5試合 2勝3敗 防御率2.36 奪三振32 奪三振率8.39 被打率.195

増井浩俊(オリックス)10試合 8ホールド 防御率0.82 奪三振14 奪三振率11.45 被打率.195

 規定投球回数を超えている投手の中で最も月間MVPに近いるのは種市篤暉です。2勝と防御率1.61はリーグ1位で、2桁奪三振を2度記録しました。

 救援では増井が8ホールドをマークし、セットアッパーとしてオリックス投手陣を引っ張りました。

 セイバーメトリクスによる評価をみてみましょう。

有原航平 FIP2.42 WHIP0.90 QS率80% HQS率80% K/BB4.57 RSAA6.79

種市篤暉 FIP2.73 WHIP1.04 QS率100% HQS率75% K/BB3.18 RSAA4.59

増井浩俊 FIP2.03 WHIP0.91 K/BB7.00 RSAA2.66

 有原は被本塁打、与四死球、奪三振のみで投手を評価するFIP、7回以上投げて自責点2以内に抑えた割合を示すHQS率においてリーグ1位になりました。さらにRSAA(Runs Saved Above Average)という、平均的な投手に比べてどれだけ失点を防いだかを示す指標(リーグ平均FIP-選手個人のFIP)×投球回数/9による評価で、有原はリーグ1位の成績を残しています。

 日本ハム投手陣でただ1人気を吐いて出色の成績を残した有原をパ・リーグの月間MVPに推します。

鳥越規央 プロフィール
統計学者/江戸川大学客員教授
「セイバーメトリクス」(※野球等において、選手データを統計学的見地から客観的に分析し、評価や戦略を立てる際に活用する分析方法)の日本での第一人者。野球の他にも、サッカー、ゴルフなどスポーツ統計学全般の研究を行なっている。また、テレビ番組の監修などエンターテインメント業界でも活躍。JAPAN MENSAの会員。近著に『統計学が見つけた野球の真理』(講談社ブルーバックス)『世の中は奇跡であふれている』(WAVE出版)がある。

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