FA宣言のロッテ鈴木の魅力は「万能守備+打力」 データ上はどの球団が最適?
内野全ポジションでの守備実績に加え、今季は打撃でキャリアハイを記録
11月2日、今年のFA宣言選手が公示された。FA市場には有力な選手が多いため、彼らがどの球団と契約するかによってリーグの戦力バランスが変化する。しかしFA選手を獲得しても球団の戦力的なニーズに合っていなければ効果的な補強とはなりえない。このシリーズではFA選手がどの球団に移籍すれば最も効果的な補強になるか、最適球団を探る。今回はロッテからFA宣言した鈴木大地の最適球団を探る。
まず適した球団を探る前に、鈴木獲得を狙う上で抑えておかなければならないポイントを確認しよう。鈴木最大の特徴は遊撃から一塁まで、内野全ポジションをこなした実績があるという点である。しかも数十イニングというレベルではなくすべて600イニング以上の経験がある。今季に関しては外野を守ることもあった。
同ポジションの平均的な守備者に比べ守備でどれだけ失点を防いだかを表すUZR(Ultimate Zone Rating)で鈴木の守備能力を見てみよう。ここでは2014~2019年の間の鈴木のUZRを、年間フル出場の目安である1200イニングに換算して比較する。
遊撃での1200イニングあたりのUZRは-15.3。平均的な遊撃手に比べ、年間で15.3点チームの失点を増やすレベルの守備力だったようだ。遊撃手としては厳しい守備力だ。ただ二塁では-5.7とやや平均を下回る程度、三塁や一塁では平均並の守備力を見せている。すでに30歳を迎えていることを考えると、遊撃での起用を前提とした獲得はリスクが大きい。基本的には、二塁・三塁に加えて一塁を守ることもできる選手と捉えるべきだ。ただオプションの一つとして「遊撃・鈴木」という選択は十分考えられる。
また鈴木が優れているのは、それだけのユーティリティ性がありながら高い打力を備えている点だ。毎年安定した打力を見せる選手であるが、今季は例年より長打面で向上。自己最多の15本塁打を記録した。ただこれは本拠地・ZOZOマリンスタジアムに今季からホームランラグーンが設置され、打撃成績を残しやすくなったことも関わっているだろう。今季の成績向上のどこまでを鈴木の成長によるものと見るか、またこの成績向上を今後も継続できると見るかどうかで鈴木に対する評価は変わってくる。