高井保弘氏が残した偉大な功績とは… 代打本塁打27発は未踏のプロ野球記録

1974年に当時の代打本塁打記録を更新、オールスターで史上初の代打逆転サヨナラ本塁打

 この年、高井はシーズン代打本塁打6本のNPB記録も作った(1976年に中日大島康徳が7本を打ってこれを更新)。「代打男高井保弘」の名前は一気に上がった。翌1975年にパ・リーグは指名打者制(DH)を導入。守備に就く必要のないDH制によって高井の活躍の機会は増えると思われたが、阪急は主としてDHには長池徳二を起用。高井はDHと代打を兼ねるようになる。

 この年の8月27日に行われたロッテとのダブルヘッダー第2試合で高井は金田留広から通算19本塁打目となる代打本塁打。これでパイレーツ、レッズなどでプレーしたジェリー・リンチの通算18本のMLB代打本塁打記録も抜いた。

 1977年、高井はようやくDHとして規定打席に到達。打率.277、11本塁打56打点でDHのベストナインを獲得した。1978、79年と2年連続で打率3割をマーク。高井は投手の球種を読むのがうまく、ミート力もあったので、レギュラーになってからはアベレージヒッターとなった。三振数は50前後と少なかった。

 1980年から再び代打での起用が中心に。代打本塁打は1976年4月8日の日本ハム戦から途絶えていたが、6月12日の南海戦(投手金城基泰)で、ほぼ4年ぶりに代打本塁打を打つ。1982年に引退するまで、通算27本の代打本塁打を記録。これは今も破られていないプロ野球記録となっている。

通算成績は1135試合に出場して2476打数665安打130本塁打446打点、打率.269。ベストナイン1回、オールスター出場1回を誇る。通算代打本塁打記録は断トツのトップ。高井の代打本塁打記録はアンタッチャブルと言える。プロ野球に「代打」という役割があることを広く知らしめた功績は大きい。

NPBの代打本塁打5傑
1高井保弘 27本
2大島康徳 20本
2町田康二郎 20本
4淡口憲治 17本
5川又米利 16本

(広尾晃 / Koh Hiroo)

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