川崎宗則との合言葉は「大変とは大きく変わること」 恩師が語る日米台で愛される男の素顔

オリックス監督時代は川崎の獲得が噂されたが…

 2015年シーズン途中まで務めたオリックス監督時代は何度も川崎の獲得を求めていたが、決して口にすることはなかった。これまで歩んできた2人の関係性があるだけに強要することだけは避けたかった。

「ムネにはムネの人生がある。いつも自分自身で決断し挑戦する姿を、常に見てきただけに。何度も会っていたが『もしサポートできることがあれば言ってくれ』とだけ伝えていた。ムネが加わればチームに与える影響は大きく化学反応が起こると確信していたが、口にはしなかったね」

 川崎が3か月限定で入団した「味全ドラゴンズ」は来季は2軍リーグに参加し、2021年から台湾プロ野球の1軍に参入予定となっている。今後、再び台湾でプレーするかは未定だが川崎の挑戦が終わることはないと確信している。

「今まで沢山の選手、首脳陣の方々を見てきたが“本当に野球が好き”と強く感じたのは西本幸雄監督、王貞治監督、イチロー、そして川崎宗則だ。ムネらしい挑戦を今後も見守っていきたい。『大変とは大きく変わること、変化しチャレンジし続けよう』が我々の合言葉だった」

◇森脇浩司(もりわき・ひろし)

1960年8月6日、兵庫・西脇市出身。現役時代は近鉄、広島、南海でプレー。ダイエー、ソフトバンクでコーチや2軍監督を歴任し、06年には胃がんの手術を受けた王監督の代行を務めた。11年に巨人の2軍内野守備走塁コーチ。12年からオリックスでチーフ野手兼内野守備走塁コーチを務め、同年9月に岡田監督の休養に伴い代行監督として指揮し、翌年に監督就任。14年にはソフトバンクと優勝争いを演じVの行方を左右する「10・2」決戦で惜しくも涙を飲んだ。17年に中日の1軍内野守備走塁コーチに就任し18年まで1軍コーチを務めた。球界でも有数の読書家として知られる。現在は福岡六大学野球の福岡工大の特別コーチを務め、心理カウンセラーの資格を取得中。178センチ、78キロ。右投右打。

(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)

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