西武に犠打は不要? 犠打数と得点力は比例するのか、直近5年のパ・リーグを振り返る
ソフトバンクは常に上位の犠打数を記録している
〇ソフトバンク
ソフトバンクはリーグ最多の犠打数を記録した2017年をはじめ、2位が2度、3位が2度と、常にリーグ上位の犠打数を記録している。直近5年間すべてで3桁の犠打数を記録したのはオリックスとソフトバンクの2チームだけであり、オリックス同様に犠打に対する意識が高いと言える。チームの総得点も1位と2位がそれぞれ2度と高いシーズンが多く、こちらは犠打を多用する堅実な攻めが機能していると言えそうだ。
2015年から2017年にかけては、2017年に史上最年少の25歳11か月で250犠打を記録したバントの名手・今宮がチーム最多の犠打を記録していたが、2018年からは故障の影響もあって犠打数が減少。代わって2年連続で23犠打を記録した甲斐がチームトップに立っており、牧原や周東もチーム内の上位に入ってきている。チーム全体がバントを多用する中で、特定の選手に偏らない体制が生まれつつあるのは頼もしいところだ。
以上のように、チーム全体の犠打数としてはオリックスとソフトバンクが多く、西武は少ないという傾向が出ている。ただ、ソフトバンクと西武はそれぞれの戦術が得点力の向上に繋がっているが、オリックスの場合は残念ながら効果的に働いているとは言い難い。この減少が生まれている要因の一つとしては、チームにおけるポイントゲッターの数の差が挙げられるだろうか。
西武には山川、中村、外崎といった強打者が中軸に名を連ね、先述の期間中には秋山や浅村のようなタイトルホルダーも在籍していた。繋ぎは源田に任せ、バントを多用せずに上位陣が打って返す方針が機能しているのは、打線全体の層の厚さと、その機能性の高さゆえでもあるだろう。
また、ソフトバンクにも柳田、松田宣、デスパイネをはじめとする強打者たちが在籍しているが、例年故障者が多く発生してしまい、時期によっては打線の層が薄くなることが少なくなかった。試合に出場できるポイントゲッターの数が限られる状況がたびたび訪れることを考えると、豪快に打ち勝つのではなく、確実に得点圏に走者を進めるという戦法は理に適っていたのかもしれない。