PL学園出身、24歳プロ注目右腕が目指すNPB 「最後じゃなかったと証明したい」

オリックス中川「社会人野球などで頑張っている先輩、同級生もいる」

 約2~3週間、グラウンドでの野球は自粛となったが、今では野球ができることに感謝しながら、ピッチングでボールを磨いている。澁谷さんの武器は動く力強いストレート。直球のキレに加え、カットボールやツーシームなどの質を高めた。

 公式戦はなくなっても心は折れることはない―。澁谷さんには背中を押してくれる盟友がいる。

 オリックスに入団した中川が入団時のこと。メディアは「最後のPL戦士」と取り上げ、注目を集めた。しかし、中川自身がその言葉を好んではいなかった。中川に真意を聞くと、こう回答してくれた。

「社会人野球などで頑張っている先輩、同級生もいるので、そういった人達からすれば、『最後の……』と言われるのはおかしいと思いますし、プロ野球を目指している人達に失礼になります」

 澁谷さんだけでなく、昨年の都市対抗野球に出場したヤマハの前野幹博外野手や、香川オリーブガイナーズの宝楽健吾内野手といった先輩、同級生で同じ投手だった鈴木達馬投手も現役でプレーを続け、夢と白球を追いかけている。中川が「最後の―」のフレーズがあまり好きではないというようなコメントは、澁谷さんをはじめ、同じ伝統のユニホームを着た男たちへのエールとなっていた。

 澁谷さんが言う。

「僕もそれを聞いた時、すごく嬉しかったですし、もっと頑張ろうと思いました。中川が、やっぱりそうやって言ってくれているからには、『やっぱり、最後じゃなかったんだな』って、自分がその言葉を証明したいですし、頑張る理由が増えた感じです。力になりましたし、やらないといけないなという思いにさせてもらいました」

 中川が「PL最後の戦士」と言われていた時は、自分への注目が全くないことを実感した。同時に「やってやるよ!」という反骨心に変わった。中川がプロで結果を残し始めて聞こえてきた言葉は、澁谷さん自身の刺激になっていた。

「すごい心の支えです!……という感じでは無いですけど、頑張れてるなと思います(笑)」

 照れくさそうに笑った。一方、中川も盟友へエールを送ってくれた。

「大変な時期を共に乗り越えたメンバ-ですし、澁谷が社会人で頑張っているのは、前から知っています。そのようなことを言ってもらえて、すごくうれしく思いますし、僕自身も刺激をもらっています。プロ野球という世界でも一緒にプレー出来たら、嬉しいですね」

 絆の結び目はさらに強固なものとなっていた。

ともに着用した伝説のユニホーム、PL学園は卒業した2年後に休部

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