93年日本Sの“伝説のバックホーム” 飯田氏語る野村の教え「直感を信じろ」

2人が「スーパーバックホーム」と絶賛する93年日本シリーズ第4戦の奇跡

川崎「でも、飯田さんと言えばあれですよ。93年(日本シリーズ第4戦で)のスーパーバックホームね。あれ。もう僕の中では、もうあれ以上はないんですよね」

飯田「だって、あれでMVPだもんね、憲次郎は。本当にそれは俺のおかげですよ。御礼は何もないです」

川崎「いや、ベンチに帰った時に『ありがとうございます』って言ったじゃないですか(笑)」

飯田「もちろん、そんなの欲しいとは思ってないですよ、実際。憲次郎が泣いてたから、良かったって」

川崎「いや、あれは本当に凄かったですね。絶対にセーフだと思いましたもん」

飯田「(自分にとって)あれは本当にプロ野球でベストプレーだと言っていいくらい」

川崎「あんなの奇跡ですよ。俺が投げて、(鈴木)健さんに打たれて、飯田さんが(打球を)捕るじゃないですか。あの時、セカンドランナーが笘篠兄(誠治)だったんです。サードベースを回った時のタイミングを見たら、どうしたってセーフだったんですよ。もうダメだと思って。それでも(本塁の)バックアップを守っていたんだけど、そうしたら(中堅から返球が)バシャーって来たからウワーッと思って。凄かった。『うぇ、これがアウトなんだ』って。誰もが、90何パーセントの人が絶対セーフだと思ってましたよ」

飯田「あんまり自分のこと褒められないんで(笑)、宜しくお願いします」

川崎「その時の心境を教えて下さいよ。例えば、ベンチからのサインはどうだったんですか?」

飯田「(走者は)二塁の単独なんで、ベンチからの指示は『前に来い』よりは『定位置』。だけど、風が逆になったんだよね。なので、もう僕は前に出ていったんですよ、結構。だから、(打球が)センター前に飛んで来た時に、ちょっと受け身で行っちゃった。ちょっとバウンドが合わなくて、これはちょっとヤバいなって思ってノーバンで投げたんですけど、間一髪。ちょっと一塁側に逸れたんですけど、うまく古田さんがカバーしてくれた」

川崎「もう絶対セーフだと思ったんです。それなのに、アウトにできたって奇跡。俺の中ではもうスーパーバックホーム」

飯田「ベンチに帰って来る時、うれしくてうれしくてしょうがないよね(笑)。人生イチの笑顔。もう出ない(笑)」

川崎「いや、何がすごいって、このプレー、完全にベンチのサインを無視しているんです。このシリーズって第4戦、第7戦ってサイン無視で勝っているんです。第7戦は古田(敦也)さんのギャンブルスタートで。多分、偶然もそうなんだけど、勘が当たった」

飯田「そうだね。勘が当たった。勝負に勝ったっていうかね」

川崎「前に言っていたじゃないですか。データはあくまでデータだ、と。だけど、ノムさんが『直感を信じろ』って」

飯田「そう『直感を信じろ』って言葉があって、セオリーじゃないことをしたんですよ。それがハマったんですよ。これ、取られたら負けるな、守り切らなきゃなって思ったんです。この1点を。結局1-0で勝つんで、本当に勝負してよかった。だって、追いつかれたら、向こうのピッチャーは潮崎(哲也)、杉山(賢人)さん、鹿取(義隆)さんって鉄壁。勝つ要素がないんですよ。こっちはもう、高っちゃん(高津臣吾)しかいないんで。だから、追いつかれたら負けだっていうのはあったんで勝負できたんです」

川崎「93年の話は盛り上がりますよ。第7戦までありますからね」

飯田「このプレーは残してほしい。ずーっと語り継いでほしい」

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