「投手はまだ早い」阪神エースを生んだ父親の慧眼 医師も感心「今でも珍しい」
藪氏の父が持った先見の明、古島医師「本当に今でも珍しいくらいです」
子どもの体の成長を考え、無理のないように導いた父。古島医師は「子どもの体の成長を理解している人、さらに監督や顧問の先生にしっかり意見を言える人は、本当に今でも珍しいくらいです。でも、本当に仰有る通りなんですよ」と、その先見の明を称える。
子どもの体に対する過度の負荷と成長との相関について、藪氏がこんなエピソードを語った。
「僕は小学4年生でセカンドを守っていた時、6年生のチームで試合に出ていました。その時、6年生にすごいピッチャーがいて、打席に立つと怖いくらいの球を投げていたんです。当時、身長が165センチくらいあったんですが、実はそこからほぼ伸びず。すごい小学生だったんですが、体の成長は止まってしまったようです。
逆に小さかった僕は、中学3年生の夏以降に一番背が伸びました。3年生で夏の大会が終わった後、部活を引退してやることがない。それまで毎日練習していたので、体が楽になったんでしょうね。高校に入学するまでの数か月で10センチ以上伸びて、高校入学時には177センチになっていました」
実は、古島医師も同じような現象を目撃している。今年の春、新型コロナウイルス感染拡大の影響で学校は休校となり、部活も活動自粛となった。この間、古島医師が診ていた高校球児たちの身長がグンと伸びたという。
「運動量が多いと食事で得たエネルギーが消費されてしまうので、体の成長にまでエネルギーが行き渡らず、骨が伸びません。また、小中学生で過度の走り込みをするなど負荷をかけすぎると、骨の成長線が早く閉じてしまい、中学生で身長が止まってしまうんですね。特に、野球は走り込みが多いので、高校で身長が伸びない選手が多くいます。そこで、今回コロナで部活ができない期間中に、複数の高校に協力してもらい、野球部の部員の身長をチェックさせてもらいました。すると、練習量が多い強豪校ほど、自粛期間中に身長が伸びた選手が多かったんです。平均で3~4センチも伸びていました」
体に過度の負荷をかけないこと、そして十分な休養を取ることで、止まったと思っていた体の成長が促されたという。また、診察に訪れる中学生で身長180センチを超える子どもたちは「みんな寝るのが大好きだと言います」と古島医師。十分な休養や睡眠を取ることは、疲労を回復させて故障を減らすことはもちろん、体の成長とも密接な関わりがあると言えそうだ。
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