元中日チェンがロッテVのラストピースに 実績豊富な左腕加入で期待される波及効果は?
昨季は大苦戦を強いられたが“運が悪い”側面もあった?
同様に、MLBにおいてチェン投手が残した各種の指標についても見ていきたい。
リーグトップクラスの強打者が多く在籍するアメリカン・リーグ東地区に籍を置いたチェンだったが、その与四球率は日本時代よりもさらに向上。2014年から2016年まで3年連続で与四球率1点台という素晴らしい数字を記録しており、渡米後にその制球力に磨きがかかっていたことが、指標の面からも表れている。
また、奪三振率は日本時代に比べればやや落ちたものの、6~7点台とある程度の数字は維持。また、K/BBにおいても、8年間すべてで2.70以上を記録し、危険水準とされる1.50とは常に遠い位置に。また、この水準を超えれば優秀とされるK/BB3.50を上回ったシーズンも4度あり、日本時代と同様に破綻の少ない投球スタイルとなっていた。
また、チェンは先述の通り、マーリンズ時代の後半は苦戦を強いられたが、今回取り上げた指標に目を向けると、また違った見方ができる点も見逃せないところ。とりわけ、2019年は奪三振率ではMLB移籍後では自己ベストの数字を残しており、与四球率も2.37と及第点以上の値に。K/BBも3.50と優秀な成績となっており、防御率6.59という数字からくる印象に比べれば、ポジティブな点も少なからず見え隠れしている。
リリーフ登板が多く、先発とは異なり短いイニングに全力を注げることも影響した可能性はあるが、本塁打を除くフェアゾーンに飛んだ打球がヒットになる確率を示す指標で、一般的には運に左右されやすいとされる「BABIP」に目を向けてみたい。2019年のチェン投手のBABIPは.360と基準値の.300を大きく上回っており、かなり運に恵まれなかったと言える数字となっていた。
もちろん、BABIPは投手の実力の有無にも左右される面も少なからず存在しており、全てを運のせいと決めつけることも危険ではある。ただ、2018年のチェン投手のBABIPは.299とほぼ基準値に近い数字であったことからも、急激な成績の悪化の理由がBABIPの悪さと無関係とは考えにくいところはある。BABIPが悪かったシーズンの後には基準値以下に良化するケースも少なくないだけに、チェン投手にも今後運が向く可能性はあるだろう。