ホークス内川ら…混戦パで終盤に出番は訪れるか? 2軍で好調な中堅・ベテランたち
ロッテのベテラン大谷は今季1軍登板はなし
〇下水流昂外野手(楽天)
下水流は広島時代に左投手キラーとして活躍し、スタメンでも代打でも随所で存在感を発揮。レギュラー獲得こそならなかったものの、勝負強い打撃を活かして2016年と2018年のセ・リーグ優勝に貢献した経験の持ち主だ。昨季途中にトレードで移籍した楽天でも、同様に対左投手の局面で巧みな打撃を披露。パ・リーグ初挑戦ながら、50試合で打率.250、出塁率.333と一定の成績を残していた。
移籍2年目を迎え、リーグの水にも慣れた今季はさらなる活躍も期待されたが、1軍では12試合の出場で打率.125と結果を残せず。それでも2軍では安定した打撃を見せ、OPS.855と優秀な成績を記録している。1軍の打線はリーグトップの得点数を記録しているだけに、その中に割って入るのは簡単ではないだろう。だが、下水流選手には「左殺し」という明確な武器がある。自らの長所を活かし、あらためて存在感を示したいところだ。
〇大谷智久投手(ロッテ)
大谷はプロ5年目の2014年に、49試合で防御率1.94という素晴らしい成績を記録してセットアッパーの座に定着。それ以降も勝ちパターンの一角として安定した投球を続け、5シーズン連続で30試合以上に登板した。その間常に2桁のホールドを記録し続け、優れた制球力を武器にフル回転。頼れるベテランとして、重要な局面での登板を重ねていた。
だが、2019年には1軍登板がわずか2試合と出場機会が激減。今季も2軍では安定した投球を続けて変わらぬ実力を示しているものの、1軍ではいまだに登板機会が得られていない状況だ。1軍では唐川侑己投手、澤村拓一投手、益田直也投手という勝利の方程式が安定感を示しているものの、フランク・ハーマン投手の故障離脱もあり、一時期に比べて層が薄くなっているのも確か。豊富な経験を活かし、優勝争いを続けるチームの力となれるか。
〇有吉優樹投手(ロッテ)
有吉はルーキーイヤーの2017年に、53試合に登板して防御率2.87という数字を残し、リリーフとして活躍を見せる。続く2018年はシーズン途中から先発に回り、6勝5敗、防御率3.74と新たな役割でも安定感を発揮。マルチな才能を活かして投手陣の貴重なピースとなっていたが、2019年には開幕直後に故障で戦列を離れ、年間を通じてわずか2試合の登板に終わってしまう。
それでもリハビリを乗り越えて翌2020年には戦列へ復帰し、7月7日の埼玉西武戦で6回2失点の好投を披露。679日ぶりとなる復活の白星を挙げた。だが、今季の登板は3試合、うち先発登板は2試合のみと、ここまで多くの登板機会が得られているとは言えない状況だ。充実しつつあるリリーフ陣に比べて、ロッテの先発陣はやや手薄な状態が続いている。シーズン終盤に登板のチャンスを掴み、完全復活を強く印象付けたいところだ。
〇細谷圭内野手(ロッテ)
細谷選手はプロ8年目の2013年に、内野のバイプレーヤーとして貴重な働きを見せて1軍に定着。そして、プロ11年目の2016年には打撃が開眼。6月下旬まで.300前後の打率をキープし、自己最多の116試合に出場。夏場に調子を落としたものの、打率.275とキャリアハイの成績を残した。しかし、2017年以降は3シーズン続けて打率1割台と打撃不振に陥ってしまい、出場機会も直近2シーズン続けて20試合台にとどまっていた。
今季は2軍で打率.288と一定の成績を残しているが、10月まで1軍での出場は一度もなかった。今季のロッテは角中勝也外野手、菅野剛士外野手、清田育宏外野手、佐藤都志也捕手と代打の層が厚かったが、感染症の影響で主力が大量離脱する事態に。この状況で1軍昇格の声がかかった細谷選手にとっては、まさに大きなチャンスといえる。長きにわたった2軍での調整の日々を経て、再び1軍の舞台で存在感を示せるだろうか。
〇海田智行投手(オリックス)
海田はプロ1年目から中継ぎとして1軍で31試合に登板し、その後も貴重な左のリリーフとしてフル回転。2016年と2019年の2度、50試合以上に登板した経験も持ち、特に2019年は55試合の登板で防御率1.84と、まさに抜群の安定感を誇った。前年同様にセットアッパーとしての活躍が期待された2020年だったが、6月26日に4失点、7月5日に3失点と崩れるケースが目立ち、その7月5日の登板を最後に、1軍での出場機会がない状況だ。
その後は2軍での登板を重ねているが、ここでは安定した投球を続けているというだけではなく、18.2イニングで18三振という高い奪三振率も記録。1軍では山田修義投手、富山凌雅投手、齋藤綱記投手といった面々が左の中継ぎとして控えているが、海田投手が昨季に近い投球を見せられれば、1軍のブルペンにとっても貴重な駒になるはず。好調のチームを支える投手陣に、厚みをもたらす存在となれる可能性は大いにあるだろう。
〇東明大貴投手(オリックス)
東明はプロ1年目の2014年から先発と中継ぎの双方をこなして1軍に定着すると、続く2015年には規定投球回に到達して10勝をマーク。主力投手としての地位を確立したかに見えたが、翌年は1勝10敗と一転して不振に陥ったうえに、以降は故障で登板数自体も減少。それでも、2018年には7試合で防御率2.27と、本来の実力が戻ってきたことを垣間見せている。
ただ、昨季は7試合で防御率7.11と安定感を欠き、ローテーションへの再定着はならず。今季はリリーフに転向して再起を図ったものの、ここまで1軍では2試合の登板にとどまっている。それでも、海田投手と同様に2軍では安定した投球を続けており、投球内容が良化していることをうかがわせる。元々先発だけでなくリリーフとしての経験も持ち合わせる投手なだけに、新たな持ち場で完全復活へのきっかけをつかんでほしいところだ。