ファンの声援は確実に力に! 観客動員後に数字を上げたパ・リーグの選手は?
観客動員がさらに増加すると、エース級が揃って持ち味を発揮
オリックス・山本は9月19日以降の5試合で3勝、防御率0.71という驚異的な数字を記録しており、観客がさらに増加したタイミングでさらなる凄みを発揮している。また、5試合で4勝のソフトバンク東浜、6試合で3勝の日本ハム有原も大事なシーズン終盤に調子を上げている。故障から復帰したオリックス山岡も観客動員増加を境にさらに調子を上げており、エース格が環境によってさらなるモチベーションを喚起されている面はありそうだ。
リリーフではロッテ東條と西武・小川がそれぞれ無失点と完璧な投球を見せており、日本ハム金子、ソフトバンク嘉弥真も安定したピッチングを披露。シーズンも終盤に差し掛かり、中継ぎにとっては疲労の蓄積してくる時期でありながら、これだけの投球を続けている各選手の奮闘は見事の一言に尽きる。ホームのマウンドに上がるたびに勇気を与えてくれる観客の後押しも、その好投を呼び込む一要因となっているかもしれない。
最後に、9月19日以降の試合で活躍を見せている野手についても見ていきたい。
9月の月間MVPにも輝いた楽天・浅村は7本塁打、23打点と荒稼ぎを見せている。観客動員が緩和されて間もない9月22日のロッテ戦では、4打数4安打3本塁打7打点という離れ業も披露。10月11日にはリーグ最速となるシーズン30本塁打到達も果たしており、観客動員の増加は自身3度目の打点王、そして初の本塁打王に向けたブーストとなっていると言えるか。
また、オリックスの安達とT-岡田も観客の増加以降は好調だ。それぞれ常時スタメン出場とはいかずとも、経験を活かして持ち味を発揮し、チームの9月勝ち越しにも貢献している。長年にわたってオリックスを支えてきた両ベテランは、残りのシーズンでも「らしい」活躍を見せ、スタジアムに足を運び続けてくれている観客に歓喜をもたらせるか。
ソフトバンクの周東もチャンスメーカーとして首位を走るチームをけん引。向上しているのは打撃成績だけではなく、持ち味の足にもますますエンジンがかかり、9試合連続を含む25個という驚異的なペースで盗塁を積み重ねている。支配下2年目で自身初の盗塁王に輝けるかにも注目だ。
以上のように、観客動員が始まった、あるいはさらに増加したタイミングから、活躍の度合いがより増していった選手は少なからず存在している。今回取り上げた選手たちは、観客の拍手や歓声をモチベーションや勇気に変え、無観客時とはまた違ったプレーを見せているという面もありそうだ。
残り少ないシーズン、そしてまもなく迎えるポストシーズンにおいても、観客の後押しはグラウンド内で奮闘する選手たちを、少なからず勇気づけることだろう。今後も観客の存在を力として、ファンの歓喜を呼び込むような活躍を見せてくれるが、一人でも多く現れることに期待したいところだ。
(「パ・リーグ インサイト」望月遼太)
(記事提供:パ・リーグ インサイト)