慶大、そしてENEOS… “再建請負人”の大久保監督が語る「いい組織」とは?

中学生や高校生に見てほしい、社会人野球の全力プレー

 22日から始まる都市対抗野球大会では、全国の予選を勝ち上がった32チームが日本一の座をかけて凌ぎを削る。社会人選手たちが繰り広げる一生懸命のプレーを、大久保監督は「中学生や高校生に本当はいっぱい見てほしいんです」と言う。

「社会人野球ってどうしても企業対抗みたいな感じがして、地味なんですよね(苦笑)。地味なんですけど、しっかり教育もしているし、熱い思いを持って野球をやっている人たちの集団。プロ野球を見て学ぶことがあるのと同じで、実は社会人を見て学ぶことは絶対に多い。本気の全力疾走って社会人チームの方がやっているところは多いんですよ。

 僕はENEOSで『アマチュアのチームから目標とされるチームでありたい』と話していて、そこに相応しい選手であったり、人であったりでいようと言っているんです。全力プレーで1球たりとも疎かにしない。守備に就いているのにバッティングのポーズをしてみたり、前でプレーが起きているのに後ろを向いてフラフラしていてはだめ。ピッチャーが牽制球を投げたら、みんながそっちに向かって動くとか、ミスがあったらちゃんとカバーする人間がいるとか、そういう動きをそつなく当たり前のように出し惜しみなくできるチームでありたいなと。運動量も集中力も大変ですけど、昔のサッカーの北澤豪選手みたいな執着心を持ちながら、打球が高く上がっても相手がエラーしたり見失ったりするかもしれないから全力で走る。絶対手を抜かないのがENEOSだって見えるくらいになりたいと思っています」

 今年の都市対抗野球大会は、各地区の代表決定戦から日本野球連盟(JABA)の公式YouTubeチャンネルでライブ中継が行われている。新型コロナウイルスの影響で東京ドームまで観戦に出掛けられない人はもちろん、海外から声援を送るファンなど幅広い層に熱戦の模様を届けることができ、大久保監督も「めちゃくちゃありがたい」と喜ぶ。

「都市対抗を見てもらった時、『みんな最後のゲームセットまで諦めずにやっているんだ』『プレーボールからゲームセットまで見てよかった、気持ちよかったな』と思ってもらえる試合をしたいですね。その試合を見て、明日から頑張ろうって思いを持っていただけるとうれしいなと思います」

 ENEOSの初戦は23日18時、東邦ガスを相手に行われる。チーム愛をもって再建に臨む大久保監督に、選手たちのチーム愛はどう応えるのか。勝敗以上に、どこまで一生懸命プレーできたかが問われる大会となりそうだ。

(佐藤直子 / Naoko Sato)

RECOMMEND

KEYWORD

CATEGORY