長嶋茂雄氏が左手で描いた“のれん” うどん店主となった元巨人右腕が語る感謝の思い

時空を超えた巨人リリーバーの縁、高梨雄平投手との邂逅

 店は條辺氏の知名度と努力で人気を博しているが、今年は新型コロナウイルスの感染拡大をうけ、4月23日からゴールデンウイークまで2週間休業した。5、6月の売り上げは例年の半分。少しずつ回復しているとはいえ、現在も80%程度にとどまっているという。それでも「1日300玉」を目標に、麺を打ち、厨房に立ち続ける。

 自前の店をオープンさせて13年目。キャリアはプロ野球生活6年の倍を超えた。「厳密に言えば、うどんの出来は毎日違います。年々ムラは小さくなっていると思いますが、うまくできた時はうれしい。自分としては、もちっとした食感にこだわっています」と語る。

 小学6年生を筆頭に、1男2女に恵まれ、修業時代から一緒の愛妻・久恵さんは、今も7時半から14時頃まで店を手伝い、その後自宅へ移動して家事に取り組む。「妻には助けられてばかりです」と條辺氏は頭を下げる。

 常連客によると、お隣の川越市出身で、今年のシーズン途中に楽天から巨人に移籍した中継ぎ左腕、高梨雄平投手が秘かに「條辺」を訪れたことをSNSで発信していたという。「彼の出身校の川越東高の生徒は、昔から丸刈りの子たちがよく食べに来てくれているので、その中にいたのかもしれませんね」と喜び、「『リーグ優勝おめでとうございます』と伝えたい。とはいえ、こんなご時世ですし、周りに気付かれるのも気の毒だから、会釈くらいでいいかな」と笑う。右腕と左腕の違いはあるが、時空を超えた巨人のリリーバー2人の邂逅。GIANTSの誇りは今もいろんな形で、條辺氏の背中を押している。

「讃岐うどん 條辺」
埼玉県ふじみ野市上福岡1-7-9
電話049-269-2453
営業時間7時から15時(麺が終わり次第終了)
日曜定休

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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