GG賞逃した阪神近本が満点、中日大島は低評価 アナリストが選ぶ名手は?【外野手編】
左翼手の青木は走者の進塁を防ぐ抑止力が他選手より秀でる結果に
どの外野手も一部の方向には弱点を抱えていたが、近本はほぼ弱点なくどの方向に対してもうまく打球処理ができていたことが分析からわかっている。また打球の滞空時間、一般的な定位置から落下点までの距離の長短という視点でも、近本はオールラウンドな打球処理を見せていたことがアナリストの分析で明らかになっている。
ゴールデン・グラブ賞の外野手部門はセパそれぞれ3人ずつ選出される。ただ、基本的に外野手で守備力に秀でた選手は中堅、右翼に集まるため、左翼手でゴールデン・グラブ賞獲得者が出るのは稀だ。そんな中で今季は青木宣親(ヤクルト)が左翼手ながら同賞を獲得している。
「1.02 FIELDING AWARDS 2020」の左翼手部門でも、やはり青木が受賞者に。ただ打球の処理においては、2位の島内宏明(楽天)と接戦の評価だった。走者の進塁をいかに防ぐかという点で青木が図抜けた成績を残したことで、青木が高評価となった。
ただアナリストによっては島内を1位に挙げるものもいた。打球エリア別の傾向を見ると、青木が前方の打球で多く失点を防いでいた一方、島内は後方の打球に強かったよう。3位以下は佐野恵太(DeNA)、近藤健介(日本ハム)と続いた。佐野は前方の打球に強く後方に弱い、近藤は左中間に強い一方で、レフト線に弱いという傾向が表れていた。
5位以下にはジェリー・サンズ(阪神)、ホセ・ピレラ(広島)、コーリー・スパンジェンバーグ(西武)と外国人選手勢が続いた。いずれも打球処理の面ではそれほど大きな弱点となったわけではなかったが、進塁抑止の面で大きなマイナスを作っていた。スパンジェンバーグは、打ってから一塁に到達するまで最速で4秒を切る俊足だが、その走力を左翼守備では生かせていないという声もあった。
(DELTA)
DELTA http://deltagraphs.co.jp/
2011年設立。セイバーメトリクスを用いた分析を得意とするアナリストによる組織。書籍『プロ野球を統計学と客観分析で考える デルタ・ベースボール・リポート1~3』(水曜社刊)、電子書籍『セイバーメトリクス・マガジン1・2』(DELTA刊)、メールマガジン『1.02 Weekly Report』などを通じ野球界への提言を行っている。集計・算出した守備指標UZRや総合評価指標WARなどのスタッツ、アナリストによる分析記事を公開する『1.02 Essence of Baseball』(https://1point02.jp/)も運営する。