「1人、配置転換を考えている」中日投手コーチが明かした“投手王国”への秘策

中日・鈴木博志(左)と岡田俊哉【写真:荒川祐史】
中日・鈴木博志(左)と岡田俊哉【写真:荒川祐史】

「1人、配置転換を考えているんです」

 放送後には救援陣を分析した。

「祖父江は低めに集めてゴロを打たせるタイプ。コロナの自粛中に覚えたシュートが大きかった。福はフライアウトが多い。サイドですが、高めの強い球が特徴です。このゴロ系とフライ系、上投げと横投げ、色々なタイプが混在しているのがポイント。谷元(圭介)もスピンの効いたストレートが持ち味のフライ系。そこに横投げの又吉(克樹)。非常にいいバランスでした」

 ここに割って入る者はいるのか。

「岡田(俊哉)は投球に味付けをするため、フォークとシュートに取り組んでいます。鈴木博志は守備の送球を見ていると、横回転が合っていると思い、私が促してサイドにしました。(ランディ)ロサリオと濱田達郎には左打者の脅威になって欲しい。石川翔は、“良い石川翔”と“悪い石川翔”がマウンドで混在しています。打てるものなら打ってみろとストライク勝負する時は魅力的。ただ、ボールが2つくらい続くと、制御できなくなってしまう。全球入魂タイプの山本(拓実)は1軍のつわものに対する駆け引きをもっと勉強すれば。藤嶋は切り替えが得意で、勝負度胸もあるリリーフタイプ。今後は勢いだけでなく、1球1球、生唾を飲みながら、投げることを覚えて欲しいです」

 去年の中日投手陣は完投、完封、奪三振が最多で与四球が最少。しかし、課題もある。

「被本塁打がリーグ5位で、主軸にきっちり打たれています。今年のキャンプはボール1つではなく、2つ低く投げる練習を徹底します」

 実に分かりやすく、穏やかに全ての質問に答えた阿波野コーチ。ただ、帰り際、一瞬だけ目が鋭くなった。そして、ボソッと秘策を漏らした。

「1人、配置転換を考えているんです」

 先発転向で成功した福谷の第2弾か。はたまた、逆か。

「試合で投げる順番にも意味があるんです。見る人が見れば、ピンと来るでしょう。計画のまま終わるか、実現するか。2月11日からの対外試合を楽しみにしてください」

 そう言って、ジャケットを羽織り、ニヤリと笑った。無観客で始まる今年のキャンプ。いよいよ球春到来だ。

(CBCアナウンサー 若狭敬一/ Keiichi Wakasa)
<プロフィール>
1975年9月1日岡山県倉敷市生まれ。1998年3月、名古屋大学経済学部卒業。同年4月、中部日本放送株式会社(現・株式会社CBCテレビ)にアナウンサーとして入社。テレビの情報番組の司会やレポーターを担当。また、ラジオの音楽番組のパーソナリティーとして1500組のアーティストにインタビュー。2004年、JNN系アノンシスト賞ラジオフリートーク部門優秀賞。2005年、2015年、同テレビフリートーク部門優秀賞受賞。2006年からはプロ野球の実況中継を担当。現在の担当番組は、テレビ「サンデードラゴンズ」(毎週日曜12時54分~)「High FIVE!!」(毎週土曜17時00分~)、ラジオ「若狭敬一のスポ音」(毎週土曜12時20分~)「ドラ魂キング」(毎週金曜16時~)など。著書「サンドラのドラゴンズ論」(中日新聞社)。

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