震災43日後に再始動、翌年選抜へ 生徒の「野球、やりてぇ」に応えた石巻工監督の覚悟【#あれから私は】

コロナ禍の昨年、全国で唯一県大会の先になる東北大会を実施

 松本理事長は2014年夏まで石巻工を指揮し、15年4月に仙台工へ異動。11年に就任した県高野連副理事長を18年まで務め、19年に理事長となった。昨年はコロナ禍で奔走。「世の中にできないことはない。できない原因を取り除けば、できることは増える」と、全国で唯一、県大会の先につながる東北大会まで実施した。

「部員、その家族、すべての学校の指導者・関係者、そして観戦を我慢した高校野球ファン、みんなに感謝だよ」

 反対意見もあったが、どうすれば開催できるのかを考え、あきらめなかった。「動かないと、何も変わらない。現状維持というのは、穏やかな下降線。つまり、進歩がない。でも、動けば変わるでしょ。(コロナから)元に戻るなんて、思っていない。“元”以上のことをやらないといけないの」

 それぞれに流れた10年の月日。みんな、今日も社会のどこかで奮闘し、何かに貢献し、誰かの力になっている。松本理事長も「野球、おもしぇっちゃ(面白い)」と言いながら、これからも街と野球の力になっていく。

(高橋昌江 / Masae Takahashi)

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