「指導者にも覚悟が必要」燕・山田哲人を輩出した強豪クラブが見据える少年野球の未来

地元の小学生らを対象にした体験会の様子【写真:橋本健吾】
地元の小学生らを対象にした体験会の様子【写真:橋本健吾】

小学野球の指導に危惧「自分の子どもなら試合に勝つために多少無理をさせる」

 最近では入部した時点で怪我持ちの子どもたちも多くいるという。中学、高校の指導方針が議論されるが鯛島氏は小学生の時から改善していく必要性を感じている。

「全てではないですが小学生の指導者は親御さんの所が多い。自分の子どもなら試合に勝つために多少無理をさせる。野球をやり始めた子に勝利至上主義は酷ですよ。怪我して野球が楽しくなくなって辞めていく。そんな子たちを無くしていくことが大事なのではないでしょうか」

 兵庫伊丹は毎年、地元の小学生らを対象にした体験会を行っている。多い年には300人が集まり練習内容、チーム方針を伝えている。

「昔より今の方が『甲子園に行きたい』と考える親が増えた印象です。そこだけを追い求めてると、何のために野球をやっているのかということにもなる。自分の道を決めるのは子どもたち。高校、大学を卒業して親になって自分たちの子どもがまたここに戻ってくる。野球を通じて様々な世界で活躍する姿を見るのが一番、嬉しい瞬間です」

 阪神淡路大震災が起こった1995年に創部され今年で26年目を迎えた兵庫伊丹。73歳となった鯛島氏はこれからも少年野球の未来を考え、チームを成長させていく。

(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)

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