現代にも続くファンと共に歩むプロ野球 芽吹いていた70年前のパ・リーグ

新しいプロ野球の形を祝う「前夜祭」のようなイベントも…

 現在では、各球団がそれぞれ魅力的な選手や応援でファンを獲得しており、テレビ中継はもちろん「パーソル パ・リーグTV」のようなネット配信で簡単に自分の好きなチームや選手を応援することができる。しかし、70年前はまだテレビがない時代(本放送は1953年から)。そのため、新聞などで活躍が大々的に取り上げられるスター選手が多く在籍するチームに人気が集中していたのかもしれない。

 また、当時のパ・リーグでは新しいプロ野球の形を祝う「前夜祭」のようなイベントも行われていたようだ。現在ではシーズン終了後に「ファン感謝デー」が開催されるのが恒例となっているが、パ・リーグ初年度だからこその「前夜祭」だったと言えるだろう。

「パ・リーグの新球団と既存球団の選抜チームによる対抗試合などをやっていました。特に新規参入の近鉄に入団した関根潤三さんが、ものすごく活躍したという記録があります。3月9日の西宮球場での試合ですね。スタルヒン(大映)も投げていますし、現役の選手の試合ですね。おそらくお披露目式のようなイベントもあったのだと思います。顔見せ興行で花火が打ち上げられたり、楽隊の演奏などもあったようです。試合結果は8対3で新球団チームのほうが勝利しています」(井上さん)

 関根潤三さんといえば、近鉄入団後8年間は投手として3度の2桁勝利を記録。さらに9年目からは野手として活躍し、投手と野手の両方で合計5度のオールスター出場を果たした名選手だ。現役を退いた後には指導者として大洋(現DeNA)やヤクルトで数々の名選手を育成するなど、多方面において野球界の発展に貢献し、2003年に殿堂入りを果たしている。昨年4月に逝去された際には多くの野球関係者から惜しむ声が聞かれた。

ファンと共に歩むプロ野球は、70年前のパ・リーグで芽吹いていた

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