明暗分かれる2人のルーキー 牧秀悟と佐藤輝明の“差”をデータで検証

ストレートにおける得点増減を表す「wFA」も両リーグワーストの佐藤輝

 一方の牧の「O-Contact%」は79.1%と高い。これは12球団の規定到達者の中でも8位に位置している。牧の場合はボール球に手を出しても、空振りするのは5球に1球ほど。もちろん凡打になることもあるだろうが、ファウルで逃れ、次のチャンスへと繋げることができていることが見える。

 また、ストライク球に対してのコンタクト割合を示す「Z-Contact%」でも佐藤輝は規定到達者でワーストの65.7%。牧も決して高くはないが、83.5%と佐藤輝とは大きな差がある。ボール球に手を出すと、圧倒的に凡打の可能性が高くなる。好打者には、ボール球には手を出さず見極められることも大事な要素となる。まず、佐藤輝はボール球の見極め、そしてコンタクト割合という点で課題を残していると言えそうだ。

 球種別の対応についても検証してみよう。2人に大きな差が見られるのは、ストレートだ。球種別の得点増減を表す指標「wFA」で、牧は1.4とプラスになっているのに対し、佐藤輝は両リーグでワーストの-5.3となっている。ブービーのDeNA宮崎敏郎内野手でさえ-3.3で、佐藤輝がストレートに苦戦している様子が窺える。牧はwFAだけでなく、ツーシームでの得点増減を表す「wFT」が2.8、カーブの「wCB」とスプリットの「wSF」がそれぞれ1.7と、幅広く球種に対応している。

 ここまでは明暗が分かれる形となっている牧と佐藤輝。ただ、シーズンはまだ始まったばかり。佐藤輝がプロのレベルに適応し、よりハイレベルな新人たちのプレーを期待したい。

(Full-Count編集部 データ提供:DELTA)

データ提供:DELTA http://deltagraphs.co.jp/
 2011年設立。セイバーメトリクスを用いた分析を得意とするアナリストによる組織。書籍『プロ野球を統計学と客観分析で考える デルタ・ベースボール・リポート1~3』(水曜社刊)、電子書籍『セイバーメトリクス・マガジン1・2』(DELTA刊)、メールマガジン『1.02 Weekly Report』などを通じ野球界への提言を行っている。集計・算出した守備指標UZRや総合評価指標WARなどのスタッツ、アナリストによる分析記事を公開する『1.02 Essence of Baseball』(https://1point02.jp/)も運営する。

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