子どもたちに幅広い選択肢を… 元四国IL理事長・坂口氏がポニーで目指すもの

なぜポニーが就職支援策を用意するのか「“点”で取り組んでも解決できないもの」

「出口を考えた時、独立リーグやU-23カテゴリーだけで“点”で取り組んでも解決できないものだと四国ILで痛感しました。そういう意味で、アンダー世代、特に中学生に中核を置くポニーの役割は重大だと思っています。中学生の頃から将来設計のサポートをしていければ。SUPER PONY ACTIONパート2では就職支援策も制定されましたが、今の時点ではポニーで就職支援の話が出ることに違和感を感じる方も多いと思います。ただ、その違和感こそが野球界が特殊社会である証拠なのかもしれません」

 野球をする子どもたちは必ずしも全員がプロを目指しているわけではない。豊かな人生を送るためには、いろいろな選択肢がある。野球を突き詰めるだけではなく、幅広い選択肢があることを教えることもまた、大人の役目だと考えている。

「プロ選手なのか就職なのか、スポーツなのか勉強なのか。選択肢はそれだけではない。そもそも、スポーツは体を動かすことを楽しむことであって、ただのエンターテインメントとは違う、人間の本質的な欲求だと思うんですよね。肩肘を張って“生涯スポーツ”という括りにするんじゃなくて、人が生きていく傍らには常にスポーツがある社会を作らないといけないと思っています。

 僕はリトルリーグ出身で、中学受験を機に本格的にやっていた野球を諦めて勉強を選びました。でも、ずっと『野球を選んでいたらどうなっていたんだろう?』という想いがありました。ただ、例えばアメリカを見た場合、野球でスカラシップ(奨学金)をもらう場合でも勉強を疎かにできない仕組みになっている。スカラシップをもらうからには、ちゃんと勉強もしなければいけないし、社会の模範たる人間性を備えないといけない。つまり、アスリートとは総合的な力を持つ人間だと思うんです。そういう意味では、勉強かスポーツかの選択をし、限られたカテゴリーの中に進んで、さらにふるいにかけられる世界は、本当に健全かというと僕は違うと思っています」

 野球を通じて、社会の広さを感じてほしい。その願いが海外や独立リーグで挑戦したいと願う選手への奨学金給付といった施策には盛り込まれている。野球の魅力を知り、難しさを知り、そして多様化する社会を知る坂口氏だからこそ、ポニー理事として担える役割は大きいのかもしれない。

(Full-Count編集部)

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