子どもたちに幅広い選択肢を… 元四国IL理事長・坂口氏がポニーで目指すもの

「野球界と一般社会と両方を知る人間として、その橋渡し役を担いたい」

 何事も理念を掲げてはみても、いざ実践となると難しい。だが、坂口氏は「(ポニーでは)きちんと明確に理念化されていて、その理念がSUPER PONY ACTIONという形で現実の施策に落とし込まれている」と実感。さらに「それを元プロ選手の広澤克実理事長をはじめ、各地で長らく指導を続けてきた方々も、皆さん試行錯誤しながら理念の実現に向けて汗を流されている」と心動かされたという。

 四国ILを離れ、東京で再び弁護士として活動を始める際、再び那須事務総長と話をする機会があり、「四国ILでの経験や弁護士としての立場を生かしてほしい」と理事就任の運びとなった。実際にポニーの一員となった坂口氏は、メンバー一人ひとりが持つ想いの熱さに驚かされたという。

「理念の策定と実践は、簡単そうに見えて実は難しい。これは一般企業でも同じです。もちろん、ポニーでも100%できているわけではないけれど、実践に向けて取り組む姿勢に共感しますし、常にその中心には選手がいる。理事会にしても役員会にしても社員総会にしても、半日以上をかけて徹底的に意見交換をします。時に反対意見があっても目を背けることなく議論を尽くして解決策を探る。今、子どもたちにとって何が一番いいんだろう。そう考えながら結論を模索する過程をみんなが楽しんでいますね」

 その中で、協会に新たに加わった坂口氏が担う役割は、野球界と一般社会をつなぐ橋渡し役だ。

「弁護士なので、もちろん組織のガバナンスやコンプライアンスといった法務的なサポートをします。ただ、必ずしも全てを法律の型にはめるのではなく、『一般社会ではこうなっています』『一般の企業の場合はこういう解決方法が筋です』といったアドバイスですね。同時に、僕が外の世界から野球界に入って一番違和感を感じたのは、やはり野球界やスポーツ界はどこか特殊な社会であるということ。年齢、性別、実力……様々な形でカテゴライズされていて、その極みでもある。戦後の日本が経済発展を遂げる中では時代にマッチした形だったんだと思いますが、今、加速度的に世の中の価値観や社会基盤が変革を遂げる中、スポーツ界が取り残されつつある一因でもあり、非常に大きな問題だと、四国ILの9年間で痛感したところでもあります。なので、野球界と一般社会と両方を知る人間として、その橋渡し役を担いたいと思っています」

 NPBを目指す選手がいたり、プロの道を諦める選手がいたり、独立リーグはある意味で「社会に一番近い接点、最後の出口」だと坂口氏は言う。社会が急速に多様化する中、野球界という特殊性から抜け出せず、一般社会との狭間で身動きが取れなくなってしまう選手も見てきた。純粋な思いで野球を追い求める選手たちが社会へ出る時、その出口をサポートしたい。四国ILで募らせた想いを那須事務総長に伝え、具体化したものが「SUPER PONY ACTIONパート2」だ。

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