佐々木朗希、さあ1軍デビュー! 兼ね備えた“3大要素”…群を抜く2軍の投球データ

ロッテ・佐々木朗希のファームでの投球マップ【画像提供:DELTA】
ロッテ・佐々木朗希のファームでの投球マップ【画像提供:DELTA】

打者の左右に関わらず外角低めにボールを集められるのも特徴

 最後に佐々木朗が具体的にどういったコースにどういった球種を投げ込んでいるかを確認しておきたい。

 投球マップを見ると、左右の打者どちらに対しても外角にボールを集めている様子がわかる。特に対右打者では、ストレートを外角低めにかなり集中させているようだ。投球マップから制球力の良さが伝わってくる。

 また、近年はMLBを中心に高めに速球を投げ込む配球が増加している。力のあるストレートをもつ佐々木朗がそうした配球をとってもおかしくないが、ここまではあくまで低め中心の投球となっている。高めに抜けるボールも非常に少ない。また決め球となるフォークもそのほとんどが低めに制球されている。

 ただ、スライダーについてはかなり散らばっている様子がわかる。右打者の外角低めに引っ掛けるようなボール球が多いようだ。現状はカウント球として使うのは難しいだろうか。あくまで見せ球の領域にある球種と言える。

 総じて分かるのはただ速い球を投げる素材型というだけではない、投手としての能力の高さである。三振を奪うだけでなく、与四球を抑えながらゴロを獲得できている点は特筆すべきところだ。ファームとはいえ、実戦で投げ始めたばかりの投手がこれほどのパフォーマンスを見せるのは驚異的である。

 スライダーだけではなく、他ににもまだ投手として課題は今後出てくるだろう。ここからさらに完成度が上がってくるのであれば、どれほどの投手になるのだろうか。いよいよ初登板を迎えるが、データから見れば、これが経験を積ませるための登板とは言えない。1軍で同様の投球ができるようなら、戦力としてチームを勝利に導く投球が十分期待できるのではないだろうか。

(DELTA)

DELTA http://deltagraphs.co.jp/
 2011年設立。セイバーメトリクスを用いた分析を得意とするアナリストによる組織。書籍『プロ野球を統計学と客観分析で考える デルタ・ベースボール・リポート1~3』(水曜社刊)、電子書籍『セイバーメトリクス・マガジン1・2』(DELTA刊)、メールマガジン『1.02 Weekly Report』などを通じ野球界への提言を行っている。集計・算出した守備指標UZRや総合評価指標WARなどのスタッツ、アナリストによる分析記事を公開する『1.02 Essence of Baseball』(https://1point02.jp/)も運営する。

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