我慢強さと努力を厭わない姿勢 松坂大輔にもみられた「プロになれる子の特徴」

「どんくさい子」の方が後々、伸びる

 高口(隆行=元巨人)は陽気な性格で、手のかからない子でした。今は身長180cmくらいあるみたいだけど、中学生の時分はあんまり背が高くなくてね「おまえ、背が低いのになんで“タカ”グチなんだ」なんて言うとニコニコ笑ってましたよ。ノックでエラーすると「もう一回お願いします」って、捕れるまでやり続けるようなガッツもありましたね。

 大塚(豊=元日本ハム)は2000年に全国選抜大会で優勝した時のメンバーですけど、捕手をやらせてたんですよ。おとなしくて目立たない子でしたけど、前向きに野球に取り組む姿勢があった。だから高校、大学とピッチャーとしての適性を見つけ出して、才能を伸ばすことができたんじゃないですか。

 プロになる子の共通点があるとしたら“我慢強さ”でしょうね。うまくできないと不貞腐れて、投げだしちゃうような子もいるんだけど、プロに行った子たちは皆、できるようになるまで黙々と練習してましたからね。やらされてやってるんじゃないんですよ。自分から進んでやる。上手くなりたいという気持ちが強いんでしょうね。

 あと不思議なもんで、子どもの時は体格的に劣っていたり、ちょっと「どんくさいな」ってくらいの方が、後々、伸びる子が多いですね。センスがある子っていうのは、なんでも上手にこなしちゃうんで、努力が疎かになりがちなんですね。でも下手な子っていうのはどうすれば上手くなるのか考えるし、負けたくなくてたくさん練習しますから。マツみたいな例外もいますけど、後で「えっ、あの子がプロに入ったの」って驚く子ばかりですよ。

 だから中学生の段階での上手い下手は関係ない。我慢強く努力していけば、プロでも甲子園でも道は必ず開けてくる。40年以上、子ども達を見てきた私が言うんだから、間違いありません(笑)。

○有安信吾(ありやす・しんご) 1941年生まれ、東京都葛飾区出身。江戸川リトルシニアでコーチとして少年野球指導を始め、1984年に江戸川南リトルシニアを創設し総監督に就任。全日本選手権大会優勝3回、全国選抜大会優勝4回、リトルリーグ・ワールドシリーズに2回出場し、2010年には世界一となった。教え子に松坂大輔、小谷野栄一など多数のプロ野球選手がいる。

(石川哲也 / Tetsuya Ishikawa)

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