敗因は“考え押し付ける指導” 方針一変して全国常連に…中学野球部監督の「覚悟」
「全ての選手を同じフォームにしていた」打撃指導を5年前に見直し
西尾監督は今年で指導歴34年目のベテランだ。指導方針を変えるのは、それまでの自分を否定する気持ちに陥る。特に打撃にはこだわりが強かったが、5年ほど前に軟式球の規格がB球から硬式に近いM球に替わったこともあり、指導方針を全面的に見直した。
「構え方ひとつ取っても、10年くらい前までは、全ての選手を同じフォームにしていました。バットは指の付け根で握るように指導していましたが、B球より重いM球になったので、手の平で握った方が強くバットを振れると感じました。ただ、これまで通りの握り方が合っている選手もいます。指の長さや握力は選手によって違います。絶対の指導はない、考えを押し付けないと自分に言い聞かせました」
指導方針を変えると、不思議と結果も変わった。長年苦労していたのが嘘のように現在では全国大会の大舞台でも好成績を残している。
「前は変化が怖かった。子どもたちから『昨日と言っていることが違う』と指摘されるのが嫌でした。でも、変化は学びや経験だと気付きました。絶えず新しいことを吸収すれば、子どもたちへの指導に生きてきます。今は1年前の自分と違うような気がしますし、変わっていくのが楽しい。全国大会に行くのが目的ではなく、子どもたちが変化してレベルアップするのを見るのが一番の楽しみに変わりました。いまだに新鮮さを感じる野球は奥深い競技だと思います」
かつては「怖かった」という変化を、今は「楽しい」と受け止める。指揮官の“意識改革”によって、チームは日々アップデートされている。
(間淳 / Jun Aida)
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