オリ杉本の覚醒を促した元プロの打撃理論 少年野球の常識覆す「鬼ダウンスイング」

横浜市で野球塾「根鈴道場」を運営する根鈴雄次さん【写真:編集部】
横浜市で野球塾「根鈴道場」を運営する根鈴雄次さん【写真:編集部】

米国や日本など世界5か国でプレーした根鈴雄次氏は横浜市で野球塾運営

 メジャーでホームランキングになる日本人を育てる。イチローさんが海を渡る前に米マイナー3Aでプレーした根鈴(ねれい)雄次さんは「可能性は十分にある」目標として、メジャーリーグで本塁打王を獲得する選手育成を掲げている。横浜市で運営している野球塾「根鈴道場」の特徴は、横に振るのが当たり前と思われているバットを縦に使って打球を捉える独自の指導。オリックス・杉本裕太郎外野手が通っていることでも知られ、小学生からプロまで道場の門を叩いている。

 田んぼが広がるのどかな場所に、ネットが張られた打撃スペースはひと際目を引く。横浜市都筑区にある野球塾「根鈴道場」。道場を開いているのは、イチローさんがメジャーリーガーになる前年の2000年、エクスポズ(現ナショナルズ)傘下3Aでプレーしていた根鈴さんだ。米国や日本の独立リーグ、さらにはメキシコ、カナダ、オランダと世界5か国でプレーした経験を持つ。

 野球塾を始めたのは、現役引退した翌年の2014年だった。「遊びの延長で野球、打撃ができるところがあったらいいなと思いました」。地域には小、中学生の野球チームがありながら、子どもたちがバットを振る場所がない。根鈴さんは施設を作り、知識や技術を伝えようと決めた。現在は個別や少人数制で指導し、小学生からプロまで幅広いカテゴリーの選手が道場の門下生となっている。

 広告宣伝費をかけていないにもかかわらず、選手が集まってくるのはSNSや口コミによるものだという。独自の打撃理論で指導した選手の打撃が劇的に変化し、1人また1人と増えていった。2018年オフからは「ラオウ」の愛称で親しまれる杉本が、根鈴さんに指導を受けて打撃を大幅に改造。2020年までのプロ5年間でわずか9本塁打だったにもかかわらず、2021年に32本塁打でタイトルを獲得した。他にも日本ハム・清宮幸太郎内野手らも根鈴さんの教えを請い、道場を訪れている。

「日本人選手の打撃を変えたい」たどり着いた“鬼ダウンスイング”

RECOMMEND

KEYWORD

CATEGORY