オリ杉本の覚醒を促した元プロの打撃理論　少年野球の常識覆す「鬼ダウンスイング」

「日本人選手の打撃を変えたい」たどり着いた“鬼ダウンスイング”

　指導の特徴は、独自の打撃理論にある。世界各国でプレーした経験から根鈴さんがたどり着いたのは、バットのヘッドを下に向け、縦にスイングする打ち方だった。根鈴さんは「鬼ダウンスイング」と表現し、ゴルフやクリケットのイメージと重なる。「上から叩く」「脇を締める」「ヘッドを返す」といった子どもの頃に教わる日本野球界の常識を覆す。

「日本選手の打撃を変えたいんです。道場のモットーは、メジャーでホームランキングを出すこと。可能性は十分にあると思っています。昨年、ラオウさんが本塁打王を獲ってくれたおかげで、指導者や評論家の方々の見方は少し変わりましたが、まだ抵抗のあるアンチの人は多いみたいです。うちの道場に来る子どもをチームに入れない指導者もいるようなので」

　日本では当たり前になっている考え方とあまりにも違いがあるため、根鈴さんの理論に否定的な人は少なくない。なぜ、バットを横ではなく、縦に振る方法を勧めるのか。根鈴さんは、こう説明する。

「バットを横に振ると、バットの芯の近くで捉えても、バットの下に投球が当たればゴロになり、上っ面に当たれば平凡なフライになります。縦に振れば投球を面で捉えられるので、バットの下側に当たれば右打者なら左翼、上側に当たれば右翼、真ん中に当たれば中堅方向に飛びます。芯の近くで打てば打球はライナー性になるので、劇的に凡打の確率が下がります」