NPBが園児を対象にしたイベント開催 独自ルールの試合やフリースペースが好評
会場の半分はフリースペース 投球、打撃、走塁を子どもが自由に選択
イベント会場を試合形式のスペースだけにせず、半分をフリースペースにしたことも子どもに好評だった。的当てやティー打撃、ベースランニングなど、メニューを自由に選べる。親子でキャッチボールができる場所も設けられた。NPBの金子大志さんは、こう狙いを説明する。
「自分の興味のあることをひたむきにやるのが幼児の特徴なので、試合だけではなく、フリースペースも楽しんでもらおうと考えました。集団に馴染めない子どもも、自分の興味に応じて好きなことを選択できます。何か1つでも、熱くなれる、興味を持てるものがあれば良かったかなと思います」
NPBやプロ野球の球団は近年、園児を対象にしたイベントに力を入れている。背景にあるのが、加速する野球離れ。出生率が下がり、野球以外の選択肢が増える中、野球人口の減少は深刻だ。首都圏では年々、ボール遊びができる公園や空き地も減り、長期化する新型コロナウイルス感染拡大によって外で遊ぶ機会が大幅に少なくなったことも逆風となっている。
野球はバットやグラブといった道具を使うところや、多様な動きがあって難しい部分が敬遠される理由にある。だが、金子さんは「難易度の高いスポーツだからこそ、運動神経が良くなると思っています。子どもの頃から様々な動きを身に付けておくことによって、将来的には野球に限らず、自分の体を思い通りに動かせるようになると思います」と力を込める。
今回のイベントに参加した子どもたちからは「楽しかった」との声があふれ、保護者も「野球を始めるきっかけになるいいイベントでした」と満足していた。金子さんは「子どもの1年と大人の1年は全然違います。今の時期に経験させた方がいいことがあると思うので、イベントを開催する重要性を感じています」と使命感を口にした。野球人口を回復されるのは簡単ではない。地道な取り組みが、魅力を伝えていく貴重な場となる。
(木村竜也 / Tatsuya Kimura)
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