データと感性で導いた“真ん中勝負” ダルビッシュが大舞台で見せた知的投球
大一番も「普段と同じと思えば大丈夫」
“真ん中に投げても打てない”という配球をこれまでにも見せてきたが、緊張感に包まれるプレーオフのピンチの場面でも躊躇なく使い、難局を切り抜けた。
そして、5回。2死三塁の場面では2番リンドーアを真ん中低めのストレートで三飛に打ち取っている。これには「前回対決でのスプリットが頭にあると思うので、その分、真ん中でも全然大丈夫だろう」と勝負球に選択している。
天候も味方にした。試合開始前から吹き出した風の影響で、曲がりが大きくなったスライダーと縦軌道のカッターも配球に組み入れ飛球でのアウトを増やした。
この日を迎えるにあたり、「いつも通り投げるのが難しくなる理由は、いつもと違うという認識があるから。普段と同じと思えば大丈夫」と臨んだダルビッシュは、予期せぬアクシデントに見舞われながらも、その言葉通りの投球を続けた。
今季から3試合制となったWCSは2勝したチームが地区シリーズに進出する。短期決戦の初戦を普段通りの投球で乗り越えたダルビッシュ有の好投と、打線が噛み合ったパドレスが、宿敵ドジャースとの地区シリーズに向けて王手をかけた。
(木崎英夫 / Hideo Kizaki)