戦力外通告は「分かる」 プロ野球選手がセカンドキャリア形成で持つべき“武器”
「毎日が試合…常に試合だと思って、前日から準備をしたい」
江尻「間違いないと思います。それでも化け物みたいに成長する人がいないことはないです。でも、そういう持っているエンジンが違う選手は本当に一握り。逆に一生懸命頑張っても通用しない人もいます。でも、野球だけがゴールじゃないと考えると、今まで生きていたステージと違うところだぞ、と早めに気づけて、自分が新しいチャレンジをできるようになっていくことはすごく大事になるかなと感じます」
「私も浪人時代、代ゼミに通っていて校訓の『日日是決戦』と考えてやってきました。それこそプロ野球時代はこれだった。毎日もう生きるか死ぬかと思って、1ミリも気を抜けないと思いながら、日々を過ごしていて。この考え方ってセカンドキャリアにも繋がる気がしています」
高宮「当校の理念としては、受験生の立場ですと、毎日一生懸命頑張る、決戦のつもりでやりなさいよっていうことですし、職員の立場で言うとやっぱり毎日同じことをやるんじゃなくて、少しでもいいからチャレンジを重ねていきたいなっていう思いを持っています。受験生も現役選手も、そして引退された選手のセカンドキャリアも、必要なことは同じかもしれませんね」
江尻「今、まさに私が大切にしたいことなんです。そして、今の現役選手には現役の間も、そしてセカンドキャリアを歩む上で大事にしてほしいことでもあります。浪人時代とプロ野球時代はそうでした。でも、僕、ビジネスマンになって、この思いが無くなってしまった。毎日飲むのがサラリーマンみたいな……。そうしているうちに、だんだん自分のモチベーションが保てなくなり……。もう一度何かを起こしてやろうと思ったときにはやっぱりこれだよ、毎日試合だよって痛感しました」
高宮「1年勝負の、試合の毎日の中で勝負をしているヒリヒリ感が、会社に属してなくなってしまった」
江尻「今はやっぱりそれは違うと思っていて、とにかく毎日が試合だと。会議であれ、お客様であれ、常に試合だと思って、前日からしっかりとした準備をしたいと思っています。だからこそ、毎日が勝負の世界で生きてきたプロ野球選手のメンタリティというのは、セカンドキャリアを生きる上で武器になると思っています」
高宮「野球で最高のパフォーマンスを出すための日々の準備というものが今の仕事にも繋がる」
江尻「全部繋がっていますね。あの時にやっていたことじゃないか、ということが今に生きているというのはすごくあります」
(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)