監督やコーチに「ハイしか言えない」 異色の指導者が反面教師にする“昔のやり方”
東海大三で甲子園出場した長坂秀樹氏 神奈川の野球塾で指導
ゴロは体で止める。バットは上から叩くように振る。理由は分からなくても、指導者の言葉に従う少年野球の子どもは少なくない。かつてエースとして甲子園に出場し、大学卒業後は海を渡って4か国でプレーした長坂秀樹さんは今、神奈川県で野球塾を開いている。小、中学生に指導する上で大切にしているのは、練習の意図や理由の説明。子どもたちが指導者に「なぜ?」を問い、指導者が根拠を示す関係性が最も大切だと考えている。
現在44歳の長坂さんは、神奈川県藤沢市で野球塾を始めて11年目になる。東海大三(現・東海大諏訪)時代はエースとして甲子園に出場。東海大卒業後は米国やカナダなど4か国でプレーした。
野球塾は主に小、中学生を対象にしているが、少年野球の指導者も訪れる。長坂さんの指導論に共感し、学びに来るのだ。長坂さんは少年野球の環境が自身の頃とは変わってきたと感じている。だが、変化のスピードは遅いとも嘆く。
「野球は未経験で自分の子どもが野球チームに入ったのでコーチをしている人も、野球経験はあっても今の知識や技術を学ぼうとする人も来ます。今と昔の野球は違うと理解して子どもたちのために勉強しようとする人がいる一方で、根拠もなく昔のやり方を続けている指導者も残っていると感じています」