なぜ身長168cmで最速152キロ出せた? 異色の元右腕・長坂秀樹氏が突き詰めた“体の使い方”

球速アップのポイントは踏み出す足とグラブの使い方

 まず、体の使い方で大事になるのは踏み出す方の足。右投手なら、左足にあたる。投手はマウンドの傾斜を利用して体の向きを動かさずに移動する「並進運動」をする。踏み出した足を上げて地面についた時、膝が曲がり、頭が捕手の方向に倒れてしまうと、力は逃げてしまう。波で言うと、岩にぶつからず砂浜の方へ流れているだけの状態となる。踏み出した足を壁の役割にして、下半身の力を上半身、さらには指先へと伝えていく。

 グラブの使い方もポイントになる。右投手の場合、投球する時にグラブをつけた左手が、左打者の背中の方向に流れてしまいがちになるという。本人は捕手の方向に真っすぐ左手を出しているつもりでも、投球には捻りの動きが入るため、体が一塁方向へ流れてしまうのだ。

 長坂さんは「ボクサーがパンチをする時、パンチをしない手は体の方に引きます。考え方は同じで、リリースする時にグラブを下向きに引きます。または、ワニの口のように右手を上の歯、左手を下の歯とイメージして、口を閉じる感じの動きです」と話す。

 体の使い方が身に付けば球速は上がる。ただ、長坂さんが身長168センチで150キロを超える直球を投げられたのは、人一倍の努力もあってこそだ。

小学5年生まで下級生のチームで補欠 練習と気持ちで可能性は広がる

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