ゲン担ぎのかつ丼は選手に逆効果? 横浜高の元寮母が“激励食事”をやめたワケ

選手の要望に応える弁当 食欲落ちる夏場は麺類+おいなりさん

「試合前はできるだけ内臓に負担をかけないことが大事です。脂質も落とした方がいいので、同じ牛肉を使うにしてもステーキよりもしゃぶしゃぶにします。鶏肉料理であれば、唐揚げよりもチキンソテーの方がいいです。調理法で油の量を減らします。かつ丼やステーキは試合後に出すようにしました」

 試合の開始時間によっても朝食のメニューは変わる。午前9時に始まる第1試合の場合、選手は普段通り主菜、副菜、汁物といった朝ごはんを食べる時間はない。食べ物の消化には3時間かかることを考えると、午前6時には食べ終えなければならない。選手は試合前に朝練をするため、時間をかけずに必要なエネルギーを補給したいのだ。第1試合が組まれた時は、渡邊さんはおにぎりを準備した。

 選手の要望を取り入れてメニューを考える時もあった。週末や長期休みの練習ではグラウンドに弁当を持っていくが、渡邊さんはエネルギーが不足しないように、白米を多めに詰める。ただ、夏場は弁当を残す選手が多かった。「暑い日は白米を食べるのがきついです」との要望を受け、白米の代わりに麺類を入れ、自分のタイミングで食べられるようにおいなりさんや小さなおにぎりも付けた。麺類だけでは不足するエネルギーを補う工夫だった。

 食事は選手たちの体を作る大切な要素となる。ただ、いつ、何を食べるのかタイミングを誤ると、効果は薄れてしまう。

(間淳 / Jun Aida)

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