プレーオフ直前に「悩ましい状況」 “緊急補強”で外国人枠問題…スタメン外の可能性も|荻野貴司のチェコ通信~Hra!~#8

チェコのエクストラリーガで優勝を目指し、プレーオフに出場する荻野貴司【写真:本人提供】チェコのエクストラリーガで優勝を目指し、プレーオフに出場する荻野貴司【写真:本人提供】

荻野貴司が届ける連載・第8回…32年連続プレーオフ出場で目指す27度目優勝

 チェコ・エクストラリーガでプレーする元ロッテの荻野貴司外野手が、いよいよシーズンの締めくくりを迎えることになった。所属するドラツィ・ブルノはレギュラーシーズンを3位で終え、32年連続でプレーオフ進出を決めた。21日から始まるプレーオフで目指すのは、27度目の優勝だ。

 言葉も文化も違う異国で家族とともに奮闘する荻野の生の声を届ける「荻野貴司のチェコ通信〜Hra!(フラ!)〜」。第8回は、開催が迫ったプレーオフにかける意気込み、チェコで感じた野球の真髄、自身の置かれた現状などについて、率直な想いを明かしている。

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 日本の皆さん、こんにちは! チェコのエクストラリーガでは8月14日にレギュラーシーズン全35試合が終了。我がドラツィは最終戦で逆転負けを喫しましたが、21勝14敗の3位で無事にプレーオフ進出を決めました。

 1位は宇草孔基選手(元広島)の所属するコトラシュカ・プラハ、2位がフロシ・ブルノ、3位がドラツィで、4位はイーグルス・プラハ。21日から始まるプレーオフでは、まず1位vs4位、2位vs3位による準決勝が行われます。これは5回戦制で先に3勝したチームが決勝進出。21日からの3連戦で決まらなかった場合は、翌週末に第4、5戦が行われます。

 皆さん、気付きましたか? そう、プレーオフ準決勝はプラハ対決、そしてブルノ対決になるのです。僕たちのドラツィとフロシは同じブルノの街が本拠地。街をあげて野球を盛り上げようと取り組んでいるブルノでは、人気を二分しているのです。

 フロシとはシーズン前半の5月に対戦しましたが、街は驚くほどの熱気に包まれていました。対戦するチーム同士はもちろんですが、ファン同士も「この戦いだけは負けられない!」と気合十分。あちらこちらで火花が飛び散る、そんなバチバチの対決なのです。それが今回はプレーオフで決勝進出のチケットを巡る戦いです。これは想像を超える熱い戦いになるのではないかと、今から楽しみです。

チェコのドラツィ・ブルノでプレーする荻野貴司【写真:本人提供】チェコのドラツィ・ブルノでプレーする荻野貴司【写真:本人提供】

最終戦にサヨナラ負け…監督と主将が激しい口論に

 2位のフロシと3位のドラツィは1ゲーム差でシーズンを終え、5度の直接対決ではドラツィが3勝2敗。どちらも一歩も譲りません。ご存じの通り、ドラツィは強豪としての実績と誇りがある。やはりフロシには負けたくないという雰囲気は、チーム内でも感じる場面が多々あります。

 こんなこともありました。実はアローズにサヨナラ負けを喫したシーズン最終戦の後、チームミーティングの場で監督と主将が激しい口論を始めたのです。コーチが仲裁に入るほどの熱量だったのですが、この試合に勝っていればフロシと同率、かつ直接対決で勝るドラツィが2位になっていたこともあり、互いに負けた悔しさが衝突してしまったのでしょう。

 さて、そのフロシですが、投手の層が厚く、主砲のライアン・ジョンソンを軸とした打線も堅実で、とてもバランス良く安定した強さを持ったチームだと感じています。シーズン中は首位に立ったこともあり、敵ながら好不調の波が少ない良いチーム。それに対して、ドラツィは代表活動で主力が抜けたり、外国人選手が一時帰国したりと、選手の出入りが激しいシーズンでしたが、プレーオフを勝ち抜くために再び戦力を充実させました。

 なんと、シーズン途中に帰国していた2人のベネズエラ選手がチームに戻ってきたのです。正直、僕もルールについては良く分かっていませんが、勝ち頭だった投手のアリアンヘル・ロペスと長距離砲のホセ・コリーナが再合流。もう一人、ケンデール・ビジェガスというベネズエラ右腕も加入し、一気にチームが戦闘モードに切り替わりました。

 ロペスはしっかり試合を作ってくれるタイプの投手。チェコでプレーするようになって改めて感じるのは、やはり野球で大事なのはピッチングと守備だということ。投げる、守るの基礎ができているかどうかで、試合の質は大きく変わります。エクストラリーガはバッテリーエラーも多く、10点以上入る試合を何試合も経験しました。

外国人枠問題に直面する荻野貴司【写真:本人提供】外国人枠問題に直面する荻野貴司【写真:本人提供】

ベネズエラ選手の再加入で戦力アップも…直面する外国人枠問題

 少し意識を変えるだけで締まった試合が増えるんじゃないか。そう思うと、正直もどかしくなることもありますが、よく見ているとチェコではコーチは技術指導をするのではなく、練習をサポートする存在。選手はどうやってスキルアップを図っているのかというと、日本の選手やメジャーリーガーの動画を見て研究をしているのです。そういう状況の中で、僕が口を出していいものか。そう考えた結果、質問をされたら答えるスタンスをとることにしています。

 強力なベネズエラ選手の再加入が心強いドラツィですが、僕にとっては悩ましい状況となりました。エクストラリーガではルール上、外国人選手の登録は1試合3人まで、そして同時にグラウンドに立てるのは2人まで。そこで、ロペスが先発する日は中継ぎビジェガス、捕手コリーナとで3枠が埋まり、僕はスタメンから外れることになったのです。もちろん、試合に出られない悔しさはあります。ただ、チームが優勝するためには、この状況を受け入れ、与えられたチャンスの中で結果を残していくしかありません。

 21日から始まるプレーオフ準決勝。ここはしっかり勝ち抜いて、決勝にコマを進めたいですね。もう一つの準決勝となるプラハ対決は、おそらく宇草選手のコトラシュカが勝ち上がってくるでしょう。今年の強さは群を抜いていましたから。準決勝、決勝と簡単ではない戦いが続くことになりますが、チーム一丸となって勝ち抜き、オフにはチェコ優勝というお土産を持って日本に帰国したいと思います。皆さん、応援よろしくお願いします!

荻野貴司のチェコ通信〜Hra!〜

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