神奈川屈指の右腕がポーカーフェイスを崩した日 涙を流して感謝を表した“恩人”
春の神奈川大会覇者・桐光学園は夏、5回戦で藤沢翔陵に敗れた
横浜の優勝で幕を閉じた2022年夏の高校野球神奈川大会。取材を通じて、多くの球児の涙を目にしてきた。勝者の涙もあれば、敗者の涙もある。試合後からずっと泣いている選手もいれば、取材中に悔しさが溢れ出る選手もいた。流した涙には、どんな想いが詰まっていたのか――。
今年の春季神奈川大会で横浜や桐蔭学園に完投勝利を収め、優勝投手になった桐光学園のエース針谷隼和(はりがい・はやと)。この夏は好投手のひとりとして注目を集めていたが、5回戦で藤沢翔陵に延長14回(13回からタイブレーク)の熱戦の末に敗れた。
10回途中からマウンドに上がると、13回まで5安打3四死球1三振2失点。自信を持っていたストレートを痛打される場面もあり、春のようなピッチングがなかなかできなかった。
試合後の取材では、悔しさを押し殺すようにして、淡々と言葉をつないだ。
「『自分が抑える』と思ってマウンドに上がったんですけど、ストレートを打たれてしまって、自分のストレートはまだまだだったんだなと実感しました。でも、まったく悔いはないです。ストレート自体の悔いもないですし、すべてにおいて、悔いはないです。本当に、いろんな方にピッチングを教わったりして……」