野球を嫌いにさせたら「指導者失格」 岡山庭瀬を学童日本一に導いた“個性と自由”
初回の5失点を跳ね返して優勝…就任32年目、69歳の中西隆志監督万感
「第3回くら寿司・トーナメント2022」と「第16回学童軟式野球全国大会 ポップアスリートカップ星野仙一旗争奪」を兼ねた大会の決勝戦が18日、神宮球場で行われ、中国代表・岡山庭瀬シャークスが7-6で関西第二代表・長曽根ストロングス(大阪府)に逆転勝ち。小学生軟式野球の全国約1300チームの頂点に立った。69歳の中西隆志監督は就任32年目で、悲願の全国大会初優勝を果たした。
初回、表にいきなり5失点。しかも相手は、昨年夏のマクドナルド・トーナメントで全国制覇を果たし、今夏の同大会でも準優勝している強豪の長曽根。岡山庭瀬にとっては、心が折れそうになる滑り出しだった。しかし、中西監督は「このチームはみんな仲が良くて、信頼し合っている。誰かが口火を切ってくれたら“それ行け”と続いていくタイプの子が多い」と期待を捨てていなかった。
実際にその裏、1番の田中優有内野手(6年)が中前打で反撃ののろしを上げると、2死二塁となった後、4番の辻井大凱捕手(6年)以下が怒涛の5連打で猛追。9番の難波龍正内野手(6年)が押し出し四球を選んで、ついに1点差に迫り、このイニング2度目の打席を迎えた田中がセンター右へ逆転2点タイムリーを放った。
殊勲の田中は味方の一塁側ベンチへ向かって派手なガッツポーズを繰り出し、ベンチの選手全員がそれに応える。「選手個々にいろいろなポーズがあって、ベンチにいる者がそれに返してやっているのです」と中西監督が説明する。四球を選んだ瞬間、ベンチへ向かって雄叫びを上げる選手がいれば、シャークスにちなんで“サメ・ダンス”のポーズを披露する選手もいる。平凡な内野ゴロで一塁へヘッドスライディングする選手も目立つ。個性的で自由なムードにあふれ、元気いっぱいのチームだ。