選手だけでなく社員も育成― 楽天が示す「球団で働くという夢」
すでに社内にいる人材を活用したサポート体制、海外研修も
モチベーションを高めるために、社員の海外研修制度もより手厚くした。このオフにも社内で公募した6名が、アメリカに向かう予定だ。球団はMLB球団やトラックマン社に代表される米国のスポーツ界をフィールドとする企業と日常的にコミュニケーションをとっており、そのコネクションを活用した。
「オフィスに入り膝を突き合わせて議論する機会を用意してもらうなど、単なる視察・見学では終わらない質の高い経験となるような改善を図っています」(岡田部長)
チーム強化のために開発したITリソースの有効活用や、社内の人材の掘り起こし、そしてグローバルな企業風土という、保有する強みを効率よく生かすことによる課題への対応は楽天グループに底流にあるベンチャースピリットを感じる取り組みでもある。
興味深いのは、それによって実現しているのが、大企業のような社員のサポートの質であるということだ。先鋭と安定が両立する様は、創設から13シーズン目を迎え新興球団を卒業し、次のフェイズに進もうとしている楽天イーグルスの今を表しているようにも感じた。
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秋山健一郎●文 text by AKIYAMA,K.