「僕は今、ローテーション投手ではない」 中日・吉見が明かす胸中、滲む決意
新シーズンにかける決意、「自分自身でも情けない」
「不動心」とでも呼ぶのだろうか。何があっても揺れずにブレない心。33歳を迎え、年齢的にはベテランと呼ばれる域にさしかかっている。しかしキャリアを重ねるにつれて、これまで以上にメンタル面の安定度が高まっているようにも見える。
「野球は基本的には自分自身との勝負だと思う。『打者を抑えよう』と思うのではなく、『ここはゴロに。ここはフライに』と具体的に考える。そのために球種、コース、高さなど細かいところまで考える。結果的に野手の間を抜けたりして結果が悪くなってもそれはしょうがない。そういう結果で一喜一憂しないようにしたい」
「やっぱりモチベーションって大事。故障をして投げられない時期が長い。そんな中で、いかに気持ちを切らさないでやっていけるか、だと思う。期待してもらっている方々には申し訳ない気持ちが強い。自分自身でも情けない。だからこそ気持ちをしっかり強く持ってやりたい」
「白黒は自分で決めることはできないから。とにかく今の自分にできることをやるだけ。それしか考えられない」
最後の言葉から今シーズンにかけている想いが伝わってくる。『白黒』が何を意味しているのかはわからない。だが本人は相当な決意を持って取り組んでいる。今年の吉見一起は何かをやってくれるような気がする。その時には、間違いなく強いドラゴンズが戻ってくるはずだ。
(山岡則夫 / Norio Yamaoka)
山岡則夫 プロフィール
1972年島根県出身。千葉大学卒業後、アパレル会社勤務などを経て01年にInnings,Co.を設立、雑誌Ballpark Time!を発刊。現在はBallparkレーベルとして様々な書籍、雑誌を企画、製作するほか、多くの雑誌やホームページに寄稿している。最新刊は「岩隈久志のピッチングバイブル」、「躍進する広島カープを支える選手たち」(株式会社舵社)。Ballpark Time!オフィシャルページ(http://www.ballparktime.com)にて取材日記を定期的に更新中。