戦力外、育成、野手転向… プロ5年の苦労人が掴んだ初アーチ「まだ野球がしたい」

18年からオリックス戦のリポーターを務める竹村美緒【写真:本人提供】
18年からオリックス戦のリポーターを務める竹村美緒【写真:本人提供】

2017年オフに戦力外通告、育成を経て野手に転向

 そして2017年に野球人生を大きく変える転機が訪れる。同年のオフに戦力外通告。そして育成選手契約を結び、内野手として再スタートした。

「野手転向の話をもらったときは驚きましたけど、気持ちは前向きになりました。あの話をいただいたから今の自分がありますし、声をかけてくださった球団の方、担当スカウトの方には今でも感謝の気持ちでいっぱいです」

 2018年には支配下登録され、さらに外野手に転向。同年8月には右打ちから両打ちに挑戦。その高い身体能力に当時2軍監督だった田口壮1軍野手総合兼打撃コーチは「足も速いし、バッティングセンスもいいんですよ。練習もよくするし、ああいった姿を見せられると期待したくなりますよね」と潜在能力の高さを絶賛していた。

 そしてこの年は、ウエスタン・リーグではチーム2位となる6盗塁をマーク。シーズン終了後には、台湾で開かれたアジアウインターリーグで主に代走で14試合に出場すると、11盗塁を記録しリーグの盗塁王に輝いた。50メートル5秒8のこの俊足が高く評価され、5年目の今年は開幕1軍を掴み取った。

「佐野選手が塁に出ると何かコトを起こしてくれそう!」。そんな期待を持ってしまうのは、私だけではないはず。しかし学生時代は足が目立つタイプではなかったそうです。

「高校時代の仲間たちは今の僕の姿にびっくりしていますね。当時のコーチも『お前そんなに足が速かったのか! それなら高校時代ももっと走れよ!』って、そんな風に笑っていました」。今や佐野選手の代名詞ともいえる俊足にかつての仲間や恩師たちも驚きを隠せないようです。

ロッテ涌井との対戦は感慨深いものに「まぐれが2回続きました(笑)」

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