打線のおかげ、エースの意地と様々… パ・リーグ「最高勝率」受賞者の傾向を振り返る

2008年に21勝を記録した岩隈投手、打線の援護は…

 以上の例を見ても、チーム成績や得点力といった面で苦しいシーズンを送った球団から、最高勝率の投手が輩出された例は少なからず存在していると結論できそうだ。直近10年間においてもそういったケースは多くなってきており、必ずしも好調なチームから最高勝率の投手が生まれるわけではないことがうかがえる。

 また、2004年と2008年の岩隈投手のように、エースに勝ち星が偏るケースも見られたのが興味深いところだ。「この投手が登板した試合では勝たなければならない」という心理がチーム内に働くことは大いに想像できるが、実際に2008年に岩隈投手が登板した試合では、15得点が1度、11得点が2度と3度の2桁得点を記録するなど、たびたび打線が爆発していた。孤軍奮闘する投手の頑張りに応えようというモチベーションが、実際に数字にも表れるケースは存在するようだ。

 勝敗数は投手自身が完全にコントロールすることはできない指標だが、その数字が所属チームに対する貢献度の一端を示していることは紛れもない事実だろう。所属チームが苦しいシーズンを送る中で最高勝率のタイトルを獲得する投手が出現するケースが2シーズン続いている中で、今季もその傾向が続くのか、あるいはまた違った趣を示すのか。来たる2020年シーズン、どの投手が栄冠を手にするのかに要注目だ。

(「パ・リーグ インサイト」望月遼太)

(記事提供:パ・リーグ インサイト

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