ロッテの「ゴールデンイヤー」再び! Aクラス率80%を誇る千葉移転後の“5年周期”

2010年はリーグ3位からの“下克上日本一”

○2010年(75勝67敗2分:リーグ3位・日本一)

 2004年から2009年までの長期政権を築いたバレンタイン監督が前年限りでチームを去り、ヘッドコーチを務めていた西村徳文氏が新監督となって迎えた2010年シーズン。5位に沈んだ前年からの復調を期した1年目のシーズンにおいて、新指揮官はシーズン開幕時点で25歳だった西岡を新キャプテンに任命するなど、チーム内の意識改革へと着手していった。

 その西岡は2009年までは細かいケガで欠場を余儀なくされることも少なくなかったが、このシーズンは守備の負担が大きい遊撃手を務めながら、自身初の全試合フルイニング出場を達成。打率.346で自身初の首位打者に輝いただけでなく、ロッテの選手としては史上初となるシーズン200安打、猛打賞27回のプロ野球新記録といった快挙も達成。常に一塁に全力疾走する姿勢も含め、リーダーとしてチームを背中で引っ張り続けた。

 また、もう一人のリーダー格であった今江氏も2007年以降は同じくケガに悩まされていたが、このシーズンは自己最多の140試合に出場し、キャリアハイとなる打率.331を記録。チーム事情に応じて時には2番打者を務めることもありながら、抜群の打棒を披露した。現在、チームの監督を務める井口資仁氏も打率.294、出塁率.412と持ち味を発揮し、ロッテ移籍後では最多となる103打点を記録して、ポイントゲッターとして機能した。

 そして、ドラフト1位ルーキーの荻野貴司外野手が、持ち前の圧倒的な脚力を活かしてわずか46試合で25盗塁を記録。驚異的な守備範囲を誇ったセンターの守備でも躍動し、生まれ変わったチームの象徴的な存在となりつつあったが、5月に負傷して残りのシーズンを棒に振ることに。絶好調だった2番打者の離脱は、チームの戦いぶりにも大きく影を落とすことになる。

 その代役として期待された俊足の早坂圭介氏も直後に大ケガで長期離脱するなど、チームにとっての不運は続いたが、最終的には荻野貴と同じく新人だった清田育宏外野手がセンターに定着。日本シリーズでは打率.333、6打点と出色の活躍を見せ、新人選手としてのシリーズ打点の最多タイ記録も達成。ルーキーイヤーから随所で勝負強さを見せ、確かなインパクトを残した。

 投手陣では成瀬善久投手が自身初めてシーズン200投球回を突破し、13勝を挙げてエースとしての役割を全う。また、開幕は中継ぎスタートだった新助っ人のビル・マーフィー投手がシーズン途中から先発に回り、左腕から繰り出される荒れ球を武器に12勝と活躍。リリーフに回った小林宏氏も57試合で防御率2.21、29セーブと転向1年目で能力の高さを見せつけ、メジャー帰りの薮田氏も30ホールドポイントを挙げる大車輪の活躍だった。

 その一方で、長らく先発投手陣を支えた渡辺氏が8勝8敗、防御率4.49とやや苦しみ、防御率2.71と好調だった唐川侑己投手が故障離脱したこともあり、先発陣のやり繰りには苦しんだ。それに加えて、福浦氏、サブロー氏、里崎氏といった主力に故障者が続出したこともあり、スタートダッシュに成功したチームは徐々に失速。優勝争いからは脱落し、4チームが繰り広げた熾烈な3位争いに身を投じていくことになった。

 しかし、シーズン途中に横浜からトレードで加入して6勝を挙げた吉見祐治氏、同じくシーズン途中入団ながら日本シリーズでも好投したヘイデン・ペン氏らを加え、激しいAクラス争いから脱落することなく、最終盤まで食らいつく。そして、勝てばクライマックスシリーズ出場が決まるシーズン最終戦で初回に2点を先制されながらも逆転勝利を飾り、わずか0.5ゲームの差で3位に滑り込んだ。

 そして迎えたクライマックスシリーズ・ファーストステージでは、シーズン2位の西武に対して2試合続けて9回に同点に追いつく執念の戦いを見せ、2戦連続で延長11回表に勝ち越す劇的な展開で2連勝。2戦目で殊勲の同点本塁打を放った里崎氏が口にした「史上最大の下克上」は、この年のチームを象徴する言葉となった。

 ファイナルステージではソフトバンクに1勝3敗(アドバンテージを含む)と先に王手をかけられながら、そこからの3試合で3連勝。史上初めて、シーズン3位から日本シリーズに進出したチームとなった。中日とのシリーズでは3勝2敗1分けと王手をかけて迎えた第7戦の延長12回、この年に代走・守備要員として1軍にデビューした、育成出身の岡田幸文氏が決勝の適時三塁打を記録。故障の大松尚逸氏の代役として起用された苦労人が大仕事を成し遂げ、チームは5年ぶりとなる日本一の歓喜に沸いた。

2015年は涌井が完全復活で15勝をマークし自身3度目のタイトルを獲得

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